君との子育ての日々 2

□バブ53
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石矢魔特設クラスに戻った頃には日は沈みかけ、教室内は薄暗かった。



「……で、のこのこ帰ってきたわけか…」



静まり返った教室内に、話を聞いた姫川の声がした。



「はっ、なっさけな…」



風船ガムを膨らまし、鼻で笑って呟いた姫川に、葵達は顔を向ける。


しかし、姫川は態度を変えずに続ける。



「神崎の野郎もそーだが、てめーらも。石矢魔の面汚しもいいとこだな

そろいもそろってナメられやがって」



すると、寧々は突然立ち上がり、冷ややかな瞳で姫川を見下ろしながら言う。



「姫川、表に出な」



そう言い放った次の瞬間、寧々は周りの机を薙ぎ倒し、姫川の胸倉を掴んで詰め寄る。



「それが仲間の為に戦った奴にはくセリフ!?だったら、なんであんたは行かなかったのよ!!」


「あ?オレ関係ねーもん」


「関係ないなら、石矢魔がどーとか言ってんじゃないわよ!!」


「やめなさい!!」



寧々が怒りをあらわにしていると、葵の声が響いた。



「姐さん」



寧々を制止した葵は、振り向きながら続ける。



「二人とも、仲間内までケンカしないの」


「でも……「仲間?」



寧々が渋い表情で返そうとした時、姫川はメガネを押し上げながら言う。



「クイーンよぉ、寝ぼけた事言うもんじゃねぇ。オレ達がいつ仲間になったよ」


「あ?」



淡々と言う姫川に対し、葵は無表情で黙るが、寧々はこめかみをひくつかせた。



「―――で、行くのかよ…」


「行くに決まってんでしょ!?」


「ダメよ!!」



寧々は真田(兄)の質問に即答したが、葵は訝しそうに告げる。



「それこそ、あいつらの思うつぼだわ」


(―――みんなバラバラ…

どうすれば、こんなのまとめられるっていうの―?)


「ねぇ、男鹿、あなたも…」



内心で不安を抱く葵が男鹿の席に振り向いた。



「―――…

男鹿は…?」


「え?」



しかし、振り向いた先には男鹿の姿はない。



「いない…」


「帰った?」


「亜希と未希もいないわ」


「あいつ、まさか…」



嫌な予感がした葵の顔は、一気に真っ青になった。



―――――――



同じ頃、古市と未希は、屋上へと向かう男鹿を追いかけていた。



「待てよ男鹿、待てって!!」


「も〜!!」



未希の手を引く古市は、前を行く男鹿に言う。



「完全にワナじゃねーか、なんで行くんだよ!!三木も言ってたぞ?六騎聖と戦った時点で負けだって!!

そりゃ、神崎の事はオレもムカついたけど…「古市」


そう言うと、男鹿は足を止めず、振り返る事なく言う。



「カン違いしてんじゃねーぞ

六騎聖が見てーだけだ」





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