君との子育ての日々 2

□バブ56
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「フーッ」



一方、葵の腕の中のベル坊はすんごい青筋をたて、苛立ついていた。



「マ゛ーーー!!

マ゛マ゛マ゛マ゛マ゛――ッ、マー゛マ゛!!」



イライラが最高潮に達したベル坊は、葵の腕の中で人差し指を突き出して暴れだす。



「ちょっ…、ちょっと」

「マ゛ーッ!!

マ゛ーマ゛マ゛ー!!」

「ベルちゃん、落ち着いて〜!!」



ジタハタと暴れるベル坊の頭の上に、葵はコツンとアゴを乗せてベル坊を宥める。



「大丈夫だから。あいつを信じなさい」



葵のその言葉に、ベル坊は暴れるのを止める。



「マ゛ッ!!」




――――そうよ、どんな武術だって関係ない


あいつは負けない



男鹿の勝利を確信する葵の強い思い。

その思いを表に出さず、通り過ぎざまに三木に言う。



「邪魔して悪かったわね…

続けてちょうだい」



静かに放たれた葵の言葉の後に、ベル坊は小指を突き立てて挑発的に一言。



「ダ」



男鹿に対する信頼から放たれた葵の言葉。



「随分、信頼されているんだね

羨ましい…」



立ったまま動かない男鹿に顔を向けて呟く三木。


「――――まぁ」


すると、三木は拳を構えて続ける。



「でも、続けると言っても、後は止め(とどめ)をさすだけですから…

本当に手を貸すべきは―…」



そこまで言うと、葵と反対方向に顔を向けながら言い放つ。



「あっちの2人でしょうね」




三木の視線の先には、荒い息を吐く夏目と姫川。



「どうした?
威勢がいいのは最初だけか?」



郷に腕を締め上げられる夏目は顔を歪め―――



「…………」


チリーン



もう一方の姫川は、顔や腕から血を垂れ流し、榊相手に荒い息を吐いていた。



「ワロス」




「そんな…っ」

「夏目さん、姫川さんっ!!」



振り向きながら驚く葵と未希。



「男鹿…」



拳を構える三木は、薄く笑いながら目の前の男鹿に言い放つ。



「あっけない勝負だったね」



そんな2人の様子を、タンクの上から見ている者がいた。



「終わりだっ!!」



拳を素早く男鹿に繰り出す三木。


葵と未希は目を見開く。


その時―――…



――ドッ!!――


三木の顔に靴がめり込んだ。


男鹿に顔を向けるが、彼は俯いたその場を動いてない。



「………なっ」




驚いた刹那、三木はそのまま吹っ飛ばされた。



いきなり現れた人物に、誰もが驚愕する。




「っ!!」

「お前…」





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