君との子育ての日々 2

□バブ57
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「必殺技!?」



男鹿の言葉にカズは興奮し、古市の肩を揺らしながら訊ねる。



「古市さん、亜希さん!!必殺技ってなんすか!?

まさか、アニキも何か武術を!?」



すごい勢いで質問攻めをするカズ。

普段から男鹿の近くにいる亜希は、小声で古市に訊ねる。



(古市くん、男鹿くんってなんか習ってたっけ?)

(習ってるわけないじゃん

あいつはナチュラル暴れん坊なだけ……)



ここで、古市がピタッと止まる。



「古市くん……?」



亜希がキョトンと口を開いた直後…



「まさか男鹿…、あれを使う気か!!」



驚愕の声を叫ぶ古市に、カズは興奮する。



「おおおっ!!

あれ!?」



男鹿の必殺技に期待するカズの横では、亜希が疑問を抱く。



(男鹿くんの必殺技ってどんなのだろう)




―――――――




一方、屋上では、男鹿と対峙している三木が口を開く。



「安い挑発だ

下らない。底が見えたよ、男鹿」



その言葉とともに、三木は左手に拳をつくって、大きく振り上げる。

風を切るように振り上げた三木の拳。



「「くるっ!!」」



葵と未希は目を見開く。



(―――本気の一撃……!!)


しかし、男鹿は笑みを崩さずに叫ぶ。



「必殺!」



すると、三木は驚愕する。

そして、次の瞬間…



「減り込みパンーチ!!」



男鹿の(自称)必殺技であ減り込みパンチが炸裂

(男鹿のパンチが、三木の右頬をかすった)



「なっ……」



焦り色の三木の前で、男鹿は悪魔の笑みを浮かべる。

男鹿側の恥…知将である古市にはわかっていた。



(いつものパンチだーっ!!)



無表情の古市が心の中で叫んだ。



その直後、唖然とする三木に、男鹿は大きく蹴り上げる。



「減り込みキィーック!!」



男鹿の減り込みキックを上体を反らしてかわした。

必殺技を炸裂する男鹿にカズと梓の表情が明るくなるが、反対に古市は冷や汗を流す。

そして、いきなり必殺技の説明を始める。



説明しよう!!

減り込みパンチとは、当たった者を問答無用で壁に減り込ませるという、理不尽極まりない悪魔の技である!!」

「あの時の…!!ただのパンチじゃなかったんですね!?」

「減り込みキックもまたしかり!!(ただのパンチだよ)」

「おーっ」



ペラペラと男鹿の必殺技の説明する古市。


カズのテンションが高まり、梓も納得の声を上げた。





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