君との子育ての日々 2

□バブ57
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男鹿の必殺技を寸のところでかわした三木は、体勢を立て直しながら内心で驚愕する。



「……

(急に動きがよくなった―――…?)

でたらめだな。それが必殺技?」



三木に聞かれた男鹿は、得意気に返す。



「まだ他にも、ぶっとべアッパーとくたばれヘッドパッドがある

シャレにならないチョップというのもいいな…」



気持ちがストレートに出ている必殺技の名前に迷う男鹿。


まぁ、これらの必殺技はこれまでに出た覚えはないが……



「……………」




ひたすら必殺技の名前に迷う男鹿に、三木は口を開く。



「君の茶番につき合う気はないよ」



すると、三木は左手に拳をつくり、右手をゆらっと上げていく。



「本当の必殺技がどういうものか、見せてあげるよ…」



静かだが、燃え盛るような覇気を放つ三木。




(何!?

空気が変わった……!!)



今までとは違う――、凄まじい空気を肌で感じた葵と未希は、身体が一瞬震え上がった。



(まずいっ!!)



未希は焦るが、男鹿はいまだに平然としている。

そんな男鹿に、三木は静かに告げる。



「最初に言っておく

この技…、手加減が出来ない。当たれば、いくら君でもただではすまないだろう

―――――だから…

絶対にかわすんだよ



恐ろしく無表情の三木が告げると、葵は慌てて叫びだす。



「―――…っ!!

危ないっ!!逃げて!!」















その直後―――――…



「そこまで」


オレンジ色の長い髪の女性が、その言葉とともに三木の腕を制した。



「ダメよ

その技は出馬君に止められてるでしょ?」



優しくもしっかりと忠告する女性。



「……な、七海先輩」



三木は驚愕する。

そして、葵達も驚きを隠せない。




(―――…この人、いつのまに…)

「………未希、気配感じた……?」

「ううん」



驚愕する葵と未希をよそに、女性――七海 静は怯んでいる郷や榊に言い放つ。



「あなた達も―…

バカ騒ぎはやめなさい。勝手な事して…

言わなきゃバレないとでも思った?」



静かに近づいてくる気配。



「―――彼

結構怒ってるわよ?」



顔が青白くなった郷と榊、無表情の男鹿がゆっくりと振り返る。


そして、扉から戦いを眺めていた古市達も背後を振り向く。



「大丈夫、怒ってへんよー」



一同の視線の先には、短めの黒髪の男が眼鏡を押し上げていた。



六騎聖の1人、出馬 要である。





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