君との子育ての日々 2

□バブ59
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すると、亜希が控えめに手を挙げる。



「なんだね」

「あの、何であたしと未希は編入なんでしょうか?」



亜希の質問の後、未希がウンウンと頷いた。



「君達の様子を見させてもらったよ

うちの生徒達に気に入られていて、頭もいい

石矢魔にいるのはもったいないと思ってね

これを機会に編入させようと決めたんだよ」



木戸の言葉に、姉妹は「ウッ」と苦い表情を浮かべた。



「あ〜、もう!あんた達も何か言いなさいよ!!」

「あー」



苛立つ葵に話を振られた男鹿と東条は考え、思った事を口にする。



「とりあえず、あのメガネとケンカしに行きてーんだけど」

「もういいか?

オレも、あのチビぶっ飛ばさねーと」



やはりというべきなのか、石矢魔2トップの考えは、とにかく売られたケンカは買う。

退学問題などお構い無しに、その気持ちが最優先された男鹿と東条の返答に、葵はつっこむ。



「話きいてたっ!?」



奥では、古市が冷や汗を流して、言葉を失っていた。



「退学よ!!退学!!

分かってんの!?」

「えー、だってしょーがねーじゃん」

「決まったもんはなー」

「しょーがなくねーよ!!あがこーよ!なんだそれ!!

亜希ちゃんと未希ちゃんが編入しちゃうんだぞ!!亜希ちゃん達がとられちゃうんだぞ!」

「とられたらとられたで力づくで取り戻せばいいだろ」



野生的な考えを述べる男鹿。


すると、姫川がサングラスを押し上げながら口を開く。



「―――いや、案外、そいつらの言う通りだぜ…」



その一声に、葵達は唖然とする。



「!」

「どーせ、オレ達は退学になるんだ。だったら、奴らと決着つけてからってのも悪くねぇ」

「姫川…」



一同が木戸に背を向けて、部屋を後にしようとした時だった―――



「待ちなさい」



一同が足を止めて振り返ると、木戸が話を切り出す。



「―――――やれやれ

確かにこのままでは、また、騒ぎを起こされかねないね…」



木戸が重たそうに呟くと、姫川の口元が吊り上がる。



「では、こうしよう…」



そして、木戸はある提案をだす。



「1ヶ月後、本校で行われる学園祭

そこで、君達9人対部長連で決着の場を設けよう

ただし、ケンカではなく、スポーツでだ。学生らしくね」

「スポーツ…?」



木戸の言葉に、葵は唖然と返した。



「競技に関しては、部長連の有利にならぬ様、一考(いっこう)しよう

そして、もし、君達が勝った場合、今の処分はもちろん、亜希さんと未希さんの編入を考え直す

君達の退学は、それまで保留だ

―――どうだね、破格の条件だと思うが――…」






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