君との子育ての日々 2

□バブ60
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「ちょっと待ったぁああっっ!!」



古市の一声に、騒がしかった教室内が静かになった。



「…何?」

「やめましょう。こんな、男鹿ハーレムみたいな展開。不愉快です

それに――」



葵が声をあげると、立ち上がった古市が不満をストレートに口にした。

そして、神妙な顔で告げる。



「ヒルダさんは、男鹿のヨメなんかじゃない」

(ほう…。では一体?)



姫川と東条は、真顔で古市の言葉を待つ。



「言ってやれ、古市ー」



男鹿が促すと、古市は堂々と言い放つ。



「妹です!!」



直後、古市は男鹿に教室から蹴り飛ばされる。



(ムリがあんだろーが!!)



――――――――



「―――フム」



古市が追い払われた教室では、自分が指定した席に座り、膝にベル坊を乗せるヒルダが感想を呟く。



「たまには悪くないものだな、学校というものも…
この制服というやつはちときついが…」



呟くと、亜希に見つめられている事に気づく。



「どーした、亜希。そんなに見つめられると、理性が効かなくなってしまうぞ」

「オイっ!!」

「外でヒルダさんがゴスロリ以外の服着てるなんて、めずらしいなぁって思って…。なんだか、素敵…」

「ふふ、亜希にそう言ってもらえて嬉しいぞ。亜希は今も可愛いが、もう少し胸元のボタンを開くといい」

「え…?」

「制服から見え隠れする胸が、可愛いのにエロいという女の最大の魅力を引き出せる
一番いいのは、亜希の胸の汗が流れてる時だな…。紅潮して火照った顔に、ほとばしる汗が亜希の艶やかさを…「おい、もうやめろ!!」



興奮気味に語るヒルダの熱弁を、男鹿が真っ赤な顔で強制終了。

そして、ヒルダに訊ねる。



「てめぇ…、一体何しに来やがった。つか、どーやって転入してきたんだよ」

「―――フン。気になるか?」



男鹿の質問に対し、ヒルダは薄く笑いながら答える。



「安心しろ、一個人として、正規の手続きでやってきた。今の私は貴様の従姉妹で、名門私立からの転入生という設定になっている

古市もまんざらはずしてはおらん
少々、思う所があってな…。それに――私だけではない、アランドロンも来ておるぞ」



こだわった設定で転校生したヒルダが告げた言葉に、亜希と男鹿は唖然とする。



「アランドロンさんが…?」

「あの、おっさんもか…?」



この時、男鹿の脳内に英語の教科書片手にローマ字で「ハハハハ…」と笑うアランドロンの姿が浮かび上がった。



(英語教師か何かか…?)



名前がアランドロンですしね。



「アイアムアペン」



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