君との子育ての日々 2

□バブ60
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その頃



「―――と、いうわけで…」



梓とカズのクラスである1年6組では、生徒一同ががく然としていた。



「今日から、うちのクラスの一員になる…」



驚きを隠せない担任教師の隣に立つアランドロンは、照れ臭そうに名乗る。



「アランドロンです。よろしくお願いします」



高校生とは思えない巨体とダンディーさに、1年6組の生徒達は同じ事を思う。



(絶対、高校生じゃねぇっ!!)



―――――――




休み時間に入り、廊下を駆ける音が教室に近づいてくる。



「みんな、学園祭の競技が決まったッス!!」



いきなり勢いよく扉を開いて告げた由加の言葉に、一同の視線は彼女に向けられる。



「それで…?」



葵が訊ねると、由加は声を張り上げて言い放つ。



「バレーボールです!!」



その言葉に、男鹿達は微妙な表情浮かべる。


そして、彼らの脳内に広大な宇宙が広がっていく。



(バレーボール――っ!?)



男鹿と古市のハレー彗星から始まり――



(バレーボール!?)



東条、神崎、姫川のブラックホール



(バレーボール!?)



葵のビッグバンへと続いた。


様々な想像を繰り広げて微妙な表情をする男鹿達を見て、姉妹は首を傾げて疑問符を浮かべた。



―――――――



そして、時は放課後。場所は聖石矢魔の体育館。




―――ピーッ―――


「全員集合っ!!」



笛を鳴らした葵の掛け声が響いた。

彼女の前に集まったのは…



「ダーッ」

「うっす」

「「はーい」」




意気揚々と手をあげるベル坊と、きちんと正座する古市と姉妹の4人だけ。

人数の少なさに、葵は驚愕する。



「これだけ…?」

「男鹿がそこで寝てます」



そう言う飛鳥の背後では、バレーボールを男鹿の頬にぶつけ、「起きろーっ」と叩き起こす由加の姿。

神崎達3年に至っては、姿さえない。



「どうします?ウチらだけ練習しても、意味ねーっスよ?退学組がこねーと…」

「――…せっかく、放課後1時間だけ体育館貸してもらえるのに…」

「来てないのは?」

「神崎、姫川、東条、夏目っスね」

「あいつら…、退学になってもいいのかしら」





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