君との子育ての日々 2

□バブ61
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夕飯を食べ終え、亜希は部屋に戻って背伸びした。



「ん〜っ!!」



すると、美咲が扉から顔を出して呼ぶ。



「亜希ちゃん、お風呂出来たから行ってきな」

「はーい」



すぐさま、バスタオルやパジャマなどを用意して風呂場へと向かう。



「亜希」

「ヒルダさん」



ヒルダに呼び止められた亜希は、立ち止まって振り向く。



「何ですか?」

「風呂から上がったら、これに着替えてもらえないか?」



そう言って、ヒルダは袋を亜希に渡した。



「わかりました」



――――――――――



それから少し時間が進み、真っ白な部屋へと場所を移す。

そこは、とにかく白い空間―――というよりは、部屋だった。

家具も何もない。

斧を持ったウサギのミニチュアキャタピラのカタカタと動くオモチャがあるだけ

マンガだったら『手抜きじゃね?』と思われてもおかしくない。



「おい」

「あ?」

「なんだ、ここは」



真っ白い部屋の中で、神崎と姫川が黒い革のベルトで身体を縛られていた



「なんだ、ここは?」

「………」

「ってゆーかなんだこの状況は!?
さっきまでオレ、家で晩飯食ってたよな!?なぁっ!?」

「オレが知るかよ…」



混乱している神崎をたしなめた姫川は、遠い目で数分前に起こったことを話す。



「テレビ見てたらいきなり目の前にでかいおっさんが現れて…」

「お前もか!?それってヒゲの!?」

「あぁ…。しかも、気のせーか、割れたような…

そいつに気を取られていたら、後ろから女の声がしたんだ。『失礼しま〜す』って
女の顔を見ようと振り返った瞬間、いきなり殴られて意識を失って、次に気がついた時にはこの状態だ…」

「どうやら、オレ達、拉致られたよーだね」



突然、会話に入り込んできた新たな被害者、夏目。



「夏目」



姫川は夏目の格好を見て、驚愕の声を叫ぶ。



「―――って、なんだその格好!!



何故なら、夏目は湯気を立て上半身裸の状態で姫川達と同じように縛られていたのだから。



「フロに入ってたら…、かろうじてタオルは負けたけど…」



しかし、夏目よりも悲惨な状態で拉致られた男が現れる。



「そんなの、まだマシッスよ!!」



げっそりと目を反らしている古市である。



「オレなんか、脱糞してるトコ、ケツも拭かずに連れてこられたんスよ
もう、尊厳とかねーっスよ」



あまりにも哀れで悲惨な状況を語る古市に、神崎は同情する。



「古市…てめーもか…」

「未希ちゃんに見られなかっただけが唯一の救いっスね…。そこに、東条さんもいますよ」



そこには、可愛い動物柄のパジャマを着て豪快にいびきをかいて眠る東条の姿。



「―――ちっ、大物ぶりやがって…」

「てゆーか、あれ寝巻か…?」



疑問の声をあげた姫川は、状況を確認するように呟く。



「よーするに、退学組が集められたってわけか」

「男鹿はどーした、男鹿は!?」

「あぁ…男鹿なら、そこに…」



ちらっと古市が振り向いた方に神崎も顔を向ける。




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