君との子育ての日々 2
□バブ61
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《ようこそ、諸君。私の名はMr.バレーボール》
スクリーンが映り、嘘くさい名前を名乗ったのは、スーツを着て根性と書かれたネクタイを締めて革のソファーに座るアランドロンだった。
「「「さっきのおっさんじゃねぇかっっ!!」」」
声を揃えて突っ込んだ夏目、姫川、古市は口々に抗議する。
「なんでモニター越し!?」
「黒幕気取りか!!」
「てゆーか、横のマスコットもかなり怪しいぞ!」
「ムダに3Dだ!!」
「直接こい、直接!」
「何この茶番!!」
不満が飛び交うが、ヒルダは無視してMr.バレーボールの説明をする。
「Mr.バレーボールは、戦時下よりバレーボールの普及につとめ、その功績を…「いいよ、そんな設定っ!!用件だけいえ!!」
《左手はそえるだけ》
そう伝えながら、アランドロンは両手をあげる。
「バスケットボールだ、それは!!」
「おちょくってんのか、てめー、マジ殺すぞ」
怒涛のツッコミを入れる古市達に、アランドロンは感心の言葉を贈る。
《フフフ…いいね。その若さ、負けん気
そんな君達を集めたのは、他でもない。ある映像を見て貰うためだ》
「映像…?」
《フフフ…》
夏目が疑問を口にすると、アランドロンは得意げに笑い、高らかに叫ぶ。
《VolleyballのVは……》
「VictoryのV!」
前半はアランドロンで後半は亜希が叫んだ。
目の前の亜希とスクリーン上のアランドロンが妙に息が合い、一同は微妙な表情を浮かべる。
―――何?
《では、スタート!》
アランドロンの掛け声のあと、映像が体育館に切り替わる。
「なんだ、ここ?」
「あ、オレ知ってます。市民体育館っスね」
「正解♪」
亜希が笑顔で言うと、映像は体育館の中に入り、アランドロンが説明を始める。
《―――そう、ここは、聖(セント)石矢魔から徒歩5分の石矢魔市民体育館
六騎聖が秘密の特訓をしている場所だ》
スクリーンに映ったのは、バウンドしたボールを構える七海。
《まあ、見たまえ》
アランドロンの促す声が入った直後、七海は高く飛び上がって強いサーブを繰り出す。
そのボールは相手チームに触れさせることなく、強い勢いを保ったままコートに入った。
圧倒的な強さを見せつけられ、唖然とする古市の隣に復活したらしい男鹿が加わる。
「オガ」
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