パラレル駄文A

□The other side of wall(中編)
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放課後、彼女がいる音楽の準備室へと向かう。
ドアをノックすればいつもの声。
「どうぞ」
ドアを開ければ奥の方の机に向かう彼女の姿が見えた。
「今日はどうなさったのですか?アスラン?」
こちらを向き、微笑みながら自分の名を呼ぶ目の前の女性。
今目の前の男が決意を胸にここに居ることを、彼女はもちろん気づかない。

「いえ、別に。前をとおりかかったものですから」
「そうですか」

そう言いながら立ち上がり、机の横においてある大きな本棚に向かう彼女。
本棚にはたくさんの楽譜。
本棚の前で探し物をしながらも自分に話しかけてくれる。
「早く帰らないと雨が降りそうですわね」
『そうですね』と返事をしながら彼女に近づく。

彼女は相変わらず探し物をしている。
一生懸命探し物をするそんな表情も仕草も全てが愛しくて、アスランは後ろから彼女を抱きしめた。
「ラクス…」
「あ、アスラン…?何を…」
彼女は抵抗しない。いや、何が起こっているか理解できていないのだろう。
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