僕の鉛筆

□第一話
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僕の名前は倉吉大輔(クラヨシダイスケ)。極々普通の男子中学生。因みに中三 受験生。
今、大ッ嫌いな数学の授業中。
<カチッカチカチカチ…>
「…ぁ……?」
シャー芯切れたーッ!
「…ぃ……?」
変え芯も無いーッ!!
「…ぅ……!」
お!鉛筆発見ーッ!!!
<カリカリカリ…>
シャーペンが使えなくなったから、僕は鉛筆を使い出した。
…鉛筆なんて、使うの何時ぶりだろう??なんだか懐かしいなぁ。
「………」
僕は<すん>と鉛筆の匂いを嗅ぐ。…木の香りだ。
……落ち着く……。
鉛筆、やっぱ好きだなぁ。これからはまた、鉛筆使おうかな。…でも、周りの奴等に、なんか言われそうだな…。
「………」
僕が口を開けっぱなしで物思いに耽っていると、先生が僕を見た。
「……!!」
ヤバい、目が合った。
僕は急いで目を反らす。
――が、先生は既に僕をロックオン済みだった。
「…倉吉。この問題、解け」
「…はぃ……」
うー…面倒くさぁー。数学とか解んないし。……無理無理無理無理……。
<ガタン>
僕はゆっくりと席を立った。なるだけ時間をかけて、立つ。
「………ん??」
僕は、手に違和感を覚えた。
「………」
なんで手から鉛筆が離れないんだろう?僕の思考は停止した。
「………」
軽く引っ張ってみた。
「………」
取れない。今度は、少し強めに引っ張ってみた。
「……ッ…」
痛いだけで、取れる気配は無い。
「………」
僕は立ち尽くした。
「…なんで……??」
「倉吉!何してんだ?」
「!!!」
先生に怒鳴られ、我に帰った。そうだ、指名されてたんだった。
「あ…すいません……」
そう言うと僕は黒板に歩み寄り、左手でぎこちなく問題を解いた。

<ガタン>
問題を解き終わり、僕は自席に着いた。
「………」
やっぱ取れない…。
「…なんで…?」
僕は下を向き、溜息を零した。
「おーい、倉吉!」
先生の声がした。
「はッ…い?」
なんでまた呼ばれたんだ?
「答、違うぞ」
先生のその言葉に、教室が笑いに包まれる。
「……は?」
「ココ、+(プラス)じゃなくて−(マイナス)な。ケアレスミスには要注意だぞー」
「…ッ…!?」
最悪だ…!!!


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