+α

□顔はやめて
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「ふぅ」
汗を拭うセバスちゃん。
「お…おぼえてらっひゃい〜」
アタシの顔を踏むなんて…!
<コッ>
「おや…流石死神」
<コッ>
「打撲では死にませんか」
<コッ>
「ですが…」
なッなんで死神の鎌を手に取るのセバスちゃん!?
「これではどうでしょう?」
<ブチブチッ>
「……!?」
持ち主であるアタシがあんなにしても取れなかったのに…!なんで貴方はいとも簡単にそれを…!!?
セバスちゃんは死神の鎌に絡まっていた燕尾服を外した。
「全てが切れる死神の鎌。という事は、死神(あなた)も切れるのでは?」
「な…何考えっ…やめなさいよっ……ギャッ!!!」
セバスちゃんはアタシの顔を<グシャッ>と踏んだ。
「足蹴にされるのは御免ですが、するのはいい気分ですね」
「いいっ…い゙――いだあぁぁぁ――――」
<ミシミシ>いってるから!セバスちゃん!!踏まないで踏まないで踏まないで―――!!!
「いだぁあぁいっ!!」
「なかなかいい声で啼くじゃないですか」
「セバ…ぁぎゃあああっ!!」
「ご褒美に」
セバスちゃんはそう言うと、死神の鎌を動かし始めた。
<ガルンッ>
<ギャララララッ>
「貴方のお気に入りの玩具で、イかせて差し上げます」
「お願っ…お願いゼバズちゃ…やめてえっ」
アタシは必死で助けを請う。だって、死にたくないもの!!
「嫌です」
そんな…キッパリ言わないで……!
そしてセバスちゃんは死神の鎌を振り上げる。
<ぶんッ>
「やめてえぇぇぇぇえ!!!!」
アタシもう、死ぬんだわ…。そう、覚悟した。死ぬ覚悟が決まった訳じゃないけど。
<ガキィンッ>
……?なんの音…??……というか、痛くない!?
<ギャララララッ>
「「!?」」
向かいの建物の屋根から延びる、もう一本の死神の鎌。その鉄の棒は、セバスちゃんが振り上げている、アタシの死神の鎌を遮っていた。
「あっ」
アタシは思わず叫んだ。
「お話中失礼致します」
<カシャカシャカシャカシャッ>
<カシャンッ>
「私、死神派遣協会管理課の、ウィリアム・T・スピアーズと申します。そこの死神を引き取りに参りました」
「ウィル!ウィリアム!!助けに来てくれたの―――」
<グシャッ>「―――ね…」
アタシが言い終わるのと、ウィリアムが屋根から飛び降りて、アタシの顔に着地するのは同時だった。
「派遣員グレル・サトクリフ。貴方は規定違反を犯しました」
痛い痛い痛い痛い!顔ッアタシの顔が<ミシミシ>いってる!!
ウィリアムは、本をめくりながら続けた。
「まず死亡者リストにない者の殺害」
何か一言言う度に、アタシの顔を蹴る。
<ガッ>
「次に使用許可申請書を提出していない死神の鎌の使用」
<ガッ>
<ガスッ>
「ちょ…ウィブフッ!!あ―――」
言い返す間がない…!
「すぐ本部に戻って、始末書と報告書を提出して頂きます」
ウィリアムはアタシの髪の毛を掴むと、そのまま引きずり歩き出した。
<ズルズルズルッ>
いい加減アタシも怒るわよ!?ヤられっぱなしは嫌ッ!!
「ちょっとォ!!アタシ今殺されそうになってたのよ!冷たい―――」
「黙りなさい」
<ズバンッ>
言いかけると、ウィリアムはアタシを地面に投げ付けた。
…痛いじゃないのよ!とゆーか最後まで言わせなさいよッ!!
「この度はアレが大変ご迷惑をお掛け致しま―――」
あら?だんだん意識が…薄れ…て………
「…………」
アタシの記憶は、そこで途切れた。


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