短編
□トワ・エ・モア
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「他の女の子とセックスできる?」とヨハンに聞いたら彼は首を縦に振った。
正直な男だ。私がしげしげと見ていたら、ほっぺたをつねられた。妙に力が入っているのは気のせいか。
「可能か不可能か、っていう問題じゃない。大事なのは――したいか、したくないか、だろ?」
「つまり?」
「俺が自分の意志で抱きたいと思うのは名前だけってこと」
顔から火が出そうだ。ヨハンに目をやると肩を震わせ笑いを堪えている。私は頬を膨らますがすぐに潰されてしまった。わずか三秒の命。
「悪い。名前があんまりにも可愛いから、つい。不安だったんだな」
「別に。そんなんじゃないけど」
「じゃあ何だよ」とヨハンはあやすように私の頭を撫でた。気持ちよさに思わず目を細める。
「ヨハンはずるい。いつも私ばっかり」
「愛されてる自信があるからな。名前は俺のこと好きだろ?」
このままでは羞恥心でライフがゼロになってしまう。
私は袖を引っ張った。フリルにダイレクトアタックだ。
「安心しろよ。俺は名前とデュエルしか見えてないぜ」
「お前だけだよ」と言わないのはヨハンたる故か。ぼんやりしていたら、ヨハンが服に手を入れてきた。首筋を舐められ身をよじる。
「ま、待って」
「生理か?」
鉄拳制裁。当のヨハンはまったく懲りてなかったが。そんなこんなで私は一糸纏わぬ姿になった。
「シャワーぐらい浴びさせてよ」
「少し匂う方が興奮する」
失礼な。私は臭くない、多分。
「俺は名前が嫌がることはしない。でも、望みは叶えてやりたい」
「ヨハン……」
ぎゅっとヨハンに抱きつくと、ヨハンは私の耳元で囁く。鼓膜が、犯される。
「……愛してる。名前」
「私も」その言葉はヨハンの唇に溶かされた。