短編
□光の結社に連れてって
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名前がいない。部屋には十代だけで、翔は疑問を抱く。
「アニキ、名前ちゃんはどうしたんスか?いつも一緒なのに」
「名前ならホワイト寮に行ったぜ。なんでも光の結社に入るらしい」
「ええっ!何平然と言ってるんスか!」
仮にも名前と恋人同士なのに呑気過ぎるのではと思った。
「名前ちゃんはアニキの彼女ッスよね?止めなくていいんスか」
「付き合ってもうすぐ一ヶ月なんだ。初めてキスしたのは今から」
「のろけはいいッスよ」
二人が会話を交わしていると、名前がやってきた。心なしか彼女の制服は汚れておりボロボロだった。
「名前ちゃん!大丈夫?」
「ああ、これ?さっき転んだの」
げらげらと笑う名前に、翔は呆れて物が言えなかった。
十代は、名前に光の結社はどうだった?と聞いた。
「なんかね、いきなり集団面接になった。主な内容は志望動機と長所短所。あとは運命と噛まずに二十回言えとか斎王の靴を舐められるかとか」
「名前は舐めれるのか?」
「アニキ。何でそこだけ食いつくんスか」
十代にも光の結社にも引いている翔。名前は首を横に振った。
「十代のならともかく斎王のはちょっと」
十代ならいいのかと突っ込みたくて仕方なかったが、とりあえず続きを促した。
「それから斎王の髪をツインテールにしたり、万丈目の制服にカレーうどんの汁をつけたり、明日香のスカート捲ったりした。あと三沢には何もしなかった。そしたら追い出されたわ」
やりたい放題の名前。翔は斎王たちに少し同情した。
「そもそも名前ちゃんは何しに行ったの?」
「万丈目たちを元に戻したかったんだろ?無理だったけど」
名前の代わりに十代が答えた。頷く名前を見て翔は目を丸くする。
「明日香は私の親友よ。万丈目も三沢も仲間だしね」
名前は何だかんだで友達思いなのだろうか。
十代を見やると彼はデュエルディスクを装着し立ち上がった。
「今度は俺も行ってやるよ」
「危険ッスよ!アニキはただでさえ奴らに狙われてるのにっ」
「大丈夫だって。それに最近デュエルができなくて暇なんだ」
確かにジェネックスが始まってから十代は避けられていた。まさかホワイト寮で暴れるつもりか。
そこまで考え、翔は身震いする。
「じゃあ行ってくるぜ翔!」
「留守番よろしくー!」
「当分帰ってこなくていいッスよ」
思わず本音が漏れる。
「丸藤先輩大変だドン!アニキと名前先輩が光の結社に拉致されたザウルス!」
心労が絶えない翔であった。