短編

□連理の枝
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ヨハンはアカデミア本校へ留学することになった。選出された留学生はヨハンだけだ。

「嬉しくてしょうがないぜ!」

「おめでとう、ヨハン。良かったね」

名前はヨハンを祝うが、内心は複雑だった。しらずしらず沈んだ表情まで見せる。
ヨハンは名前を見るなり、ぴたりと話をやめた。異変を瞬時に察知したからだ。

「名前、何かあったのか?」

名前は慌てて「何でもない。大丈夫だよ」と、かぶりを振った。彼女にしてみれば、胸中をぶちまけるのは抵抗があるのだ。しかし、ヨハンは納得できず顔をしかめる。しばらくして名前は口を開いた。

「寂しいの。ヨハンが遠くに行っちゃう気がして」

「名前……」

「ヨハンはどんどん強くなるのに、私は弱いままだわ。悔しくもあるし、距離を感じるの」

名前は劣等感を抱いていた。一抹の不安もある。彼の隣にいてもいいのかと、自問することもあった。恋人ならびにデュエリストとして、ふさわしいのか疑問なのだ。
名前は目を伏せると、唇をきゅっと結んだ。ヨハンは呆れながら名前の鼻を摘まむ。

「ばかばかしい。名前は、そんなことで悩んでたのかよ」

くだらない、と言っては語弊がある。だが、うなだれる少女に言わなくてはならないのだ。

「デュエルは、強さだけが全てじゃないだろ。お前は弱いから駄目だ、って言われて止めるのか?」

「そんなわけないじゃない!」

名前は真っ向から否定した。ヨハンは「だよな」と言って笑う。

「そりゃあ、色んな奴と戦いたいし強くなりたいぜ?デュエリストなら当然だよな」

「うん」

「勝ったら嬉しいし、負けたら悲しいさ。それは誰だって一緒だ。デュエルが好きならな」

ヨハンは名前を抱き寄せた。

「名前とのデュエル楽しいぜ。次はどんな手をしかけてくるのか、わくわくするんだ!それに、デュエルを愛する気持ちが伝わってくる」

「本当に?私、自信持っていいの、かな」

「もちろん!小さなことを気にするな、名前。ただ、お前が気になるなら」

「んっ、」

ヨハンは、名前の唇に魔法をかけた。

「追いかけてこい。ちゃんと待っててやるから」

「ヨハン……うん!」

名前は自身に意義を見出す。そして、デュエルとヨハンを手放さないと決めた。道のりは険しいが、晴れ晴れとした気分であった。
穏やかな空気に包まれる中名前は、はたと大事なことを思い出す。

「ヨハン。言い忘れてたけど、浮気しないでね」

「何だよいきなり。するわけねぇだろ」

話が飛躍したものだ。信用がないのだろうか。

「だって、日本の女の子は華奢で小柄で可愛いって聞くから」

「確かに名前の方が肉づきがいいな。こことか特に」

ヨハンは二つの膨らみを指さす。名前は顔を真っ赤にしながら彼の頬をつねった。当人は、お構いなしに名前の太ももへと手を伸ばす。

「や、やだ!変なとこ触らないでっ」

「じゃ、どこならいい?」

欲を孕んだ声がいざなう。ヨハンは舌先で耳を舐めつつ相手の出方を待った。

「心も繋がったことだし、今度は――体も繋がろうぜ」

名前は恍惚として、ヨハンの首に腕を回した。
 

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