短編
□結局バカップル
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ヨハンはデッキと睨めっこしている。私は彼にそろりと近づいて、後ろから抱きついた。
「ヨハンにダイレクトアタック!」
「わっ、何だよ」
「ん〜ヨハンにくっつきたくなったの」
「名前は甘えん坊だな」
邪魔したにも関わらず、ヨハンは嫌がる素振りも見せない。それどころか、頭を撫でてくれたのだ。私は嬉しくて、ぎゅっとしがみついた。彼の体温も、大きな背中も、全部、私の。
「あのさ名前」
「ん?」
「もうちょい顔近づけて」
特に疑問を持たず、ヨハンの指示に従う。後ろ姿もいいけど、ヨハンの顔も見たかっった。
「ヨハン、これで平気?」
「ああ」
ほっとした途端、唇に柔らかいものが当たった。後頭部を押さえられ、戯れのキスが熱い口づけになった。呼吸さえ許されない。
「ん、やだ……」
ヨハンの唇が下降して、舌が首をかすめる。舌使いから、色欲がありありと浮かんでいた。
「名前から誘ったんだろ?」
「誘ってないもん。私はヨハンとイチャイチャしたかっただけだよ」
「男はイチャイチャしてるとヤりたくなんの。キスしたらその先も、ってなるんだぜ?」
「あんっ、やだってばぁ……!」
「可愛い声だしても駄目」
ヨハンは服の中にまで手を入れて、やる気満々だ。今日は、そういう気分じゃなかったのに。
「男の子って単純ね」
「まあな! ついでに言うと名前と二人きりになった時から、ずっとえっちなこと考えてた」
「……信じらんない」
「仕方ないだろ? 俺だって健全な男だから、好きな子には触りたいと思うさ」
『好きな子』と言われて求められたら拒めない。だって私も好きだもん。ずるいなヨハンは。
「じゃ、俺と気持ちいいことしよっか」
「……する」
これからヨハンにたっぷり愛されるのだろうが、満更嫌でもない。