短編

□結局バカップル
1ページ/1ページ

ヨハンはデッキと睨めっこしている。私は彼にそろりと近づいて、後ろから抱きついた。

「ヨハンにダイレクトアタック!」

「わっ、何だよ」

「ん〜ヨハンにくっつきたくなったの」

「名前は甘えん坊だな」

邪魔したにも関わらず、ヨハンは嫌がる素振りも見せない。それどころか、頭を撫でてくれたのだ。私は嬉しくて、ぎゅっとしがみついた。彼の体温も、大きな背中も、全部、私の。

「あのさ名前」

「ん?」

「もうちょい顔近づけて」

特に疑問を持たず、ヨハンの指示に従う。後ろ姿もいいけど、ヨハンの顔も見たかっった。

「ヨハン、これで平気?」

「ああ」

ほっとした途端、唇に柔らかいものが当たった。後頭部を押さえられ、戯れのキスが熱い口づけになった。呼吸さえ許されない。

「ん、やだ……」

ヨハンの唇が下降して、舌が首をかすめる。舌使いから、色欲がありありと浮かんでいた。

「名前から誘ったんだろ?」

「誘ってないもん。私はヨハンとイチャイチャしたかっただけだよ」

「男はイチャイチャしてるとヤりたくなんの。キスしたらその先も、ってなるんだぜ?」

「あんっ、やだってばぁ……!」

「可愛い声だしても駄目」

ヨハンは服の中にまで手を入れて、やる気満々だ。今日は、そういう気分じゃなかったのに。

「男の子って単純ね」

「まあな! ついでに言うと名前と二人きりになった時から、ずっとえっちなこと考えてた」

「……信じらんない」

「仕方ないだろ? 俺だって健全な男だから、好きな子には触りたいと思うさ」

『好きな子』と言われて求められたら拒めない。だって私も好きだもん。ずるいなヨハンは。

「じゃ、俺と気持ちいいことしよっか」

「……する」

これからヨハンにたっぷり愛されるのだろうが、満更嫌でもない。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ