短編2

□におい
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ヨハンは私のにおいが好きみたいで、今も嗅いでいる。
「お風呂に入らせてよっ」
「もう少しいいだろ」
ヨハンは鼻腔を私のにおいで満たそうとしている。ひたすら嗅覚を働かせていた。
「は、あっ……」
首すじ、わき、胸、おへそ。ヨハンは、更なるにおいを求めて下へ移動した。
「あんっ!だめえ……」
「何だよ今更照れてんのか?」
太もも、ひざ、ふくらはぎ、つま先。ヨハンのテリトリーは、広がっていく。
「……あ」
スカートの中にヨハンの手が入ってきた。彼は筆のように指をすっと、滑らせる。彼の手が好きなのに、こんなことで反応してしまう自分が嫌だった。
「すべすべだな」
「や、いやっ」
M字型に開かれた足から、ヨハンを誘ういやらしい香りが放出していた。
彼は犬みたいに鼻をひくひくさせて、内もものにおいを嗅ぎ始める。
「名前の太もも、いいにおいだぜ」
「やんっ!」
ヨハンは鼻をずらし、そのまま――
「……ここから一番名前のにおいがする」
私の最も大事な場所に鼻を押しつけ、大きく息を吸った。
「思った通り、名前のえっちなにおいがプンプンするぜ」
「そ、そんなとこ嗅がないで……!」
「どうしよっかなー?」
「や、しゃべらない、で」
ヨハンの綺麗な顔が、私の恥ずかしいところにある。それでも弾んだ声から、彼は無邪気に笑っているのだろう。その淫猥な行為との隔たりに、ぞくぞくした。
 

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