短編2

□乳の日
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「おーい名前!」
「何よ、じゅうだ……い?」
 十代は名前の胸をわし掴みにした。これが挨拶だ、と言わんばかりに揉んでいる。

「いきなり何するのよ!」
「だって今日は、乳の日って翔が言ってたから」
「そっちの乳じゃなくて、父親の父よ!」
「何だ。おっぱい揉み放題の日かと思ったぜ!」

 誤解が解けても十代の手は離れなかった。それどころか、名前の胸を愛でている。やめる気配は一向にない。

「ちょっと十代!」
「おーい名前! 今日は乳の日なんだってな!」
「……ヨハン」

 名前の胸に、もう一つ手が追加された。柔らかい乳房はその手の中で、むにむにと形が変えられる。

「ヨハン、乳はおっぱいじゃなくて父親の父だぜ」
「へぇ、よく知ってるな十代」

 十代とヨハンは、何食わぬ顔で指を動かし続ける。
 硬くなった突起にまで触れられた瞬間、名前の堪忍袋の緒が切れた。

「……っいいかげんにしなさい!」
「うわー名前が怒った!」
「逃げようぜ十代!」

 その後、逃げた十代とヨハンをとっつかまえて説教をした。これに懲りて、もう馬鹿な真似はしないで欲しいと思った名前だが……。

「エロ戦車出撃ーっ!」「キャー!」
「へっへー名前のパンツは白!」
「待ちなさい! 十代、ヨハン!」

 翌日も十代とヨハンのセクハラが待ち受けていた。

「好きな子はいじめたいってやつッスかねぇ」
「小学生みたいだドン」

 十代たちの不器用なアプローチは続く。
 

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