短編2

□性夜の奇跡
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「生きてるか?」
「大丈夫です。あらゆる意味で私には刺激が強すぎましたが」
「とにかく元気だそうぜ?せっかくのイブなのに、へこんでちゃ勿体ないぜ!」
「そうですね。ありがとうございます十代さん」

ようやく吹っ切れたのか笑みを見せる名前。十代のおかげだ。それゆえ「ご主人様は心だけじゃなく股も開ける相手がいて幸せだな!」という発言も聞き流した。

「十代さん。受け取ってください。今日のお礼です」
「このカードは……!」
「先祖代々伝わるカードです。ご存知ですか?」

デュエリストで知らぬ者はいないくらい有名である。なぜなら一枚25円で売られている伝説のカードだからだ。
優しい十代は真相を伏せたまま、翌日、叩き売りされてるカードショップに連れていくと約束した。きっと名前を1ターンキルできるだろう。

「見て、十代さん!街が一望できますよ!」
「おおっ綺麗な夜景だなぁ」
「壮大な眺めですね」
「俺のやってることなんて、ちっぽけに思えてくるぜ」
「セクハラを正当化するのは止めてください」

十代は名前のスカートの中で、手をもぞもぞさせていた。ヤるなら今しかないとでも思ったのか。名前としては、貞操の危機に直結したため黙っていられなかった。

「あっ、あの施設は……」
「知ってんのか?」
「ご主人様がよく利用していました」
「じゃあ俺たちも行ってみようぜ!」
「いいんですか?ありがとうございます!」

十代と名前は連込み宿へ直行した。
性夜の心温まる出来事だった。


※連込み宿…ラブホ〇ル
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