短編2

□下克上失敗
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 今日こそは十代にギャフンと言わせてやる。

「私、十代の弱点は何かって常日頃考えてたの」
「暇だなお前」
「それで、とうとう見つけたのよ!」

 ユベルと超融合した十代に死角はない。完全無欠だ。デュエルでもセックスでも私は負けっぱなし。悔しいじゃない。いつも十代のターンで。
 そこで私なりに考えたのだ。超人的な能力を持つ十代に勝つ方法を。

「さあ、観念しなさい十代」
「俺が何したってんだよ」
「いいから、じっとして」
 距離をつめるたび、緊張する。私は十代の髪に指を絡めた。男のくせに、私よりフワフワだ。
 ターゲット発見。狙いは十代の耳だ。普段は埋もれている貴重なその耳を指で、つん、と触る。

「……っおい」
「あ、やっぱり耳弱いんだ」
 ほんの一瞬だが眉を寄せたのを見逃さなかった。今が好機だ。とにかく攻めろ攻めろ。

「んっ、十代くんはお耳が弱いのかなー?」
「るせぇ……」

 ちゅ、ちゅ、と耳元でわざとリップ音を立てる。嫌がる十代を無視してそのまま軟骨を舐めた。次は中ね。舌で掃除してあげる十代。

「名前、いい加減にっ……!」

 十代なんてちっとも怖くない。だって今は私のターンだもの。

「……十代かわいい」

 軽く歯を立てて、そう言ってやった。十代ったら顔は赤いし目が潤んでる。
 十代が、がくっと崩れて、寄りかかってきた。私の背中に手まで回して、相当弱ってるみたい。生気を失った植物のようにしおれる十代が可愛いけど気の毒で、愛撫を止めた。
 すると、ぷちん、と妙な音がした。あの締めつけから解放され、呼吸が楽になる感覚。嫌な予感がするものの、十代の前で確認するわけにもいかない。

「名前?」
「な、何?」
「どうかしたのか?」
「別に! それより、私ちょっとトイレ!」

 大ピンチだ。もし、このことが十代にバレたらと思うと恐ろしくてしかたない。
 まあ、案の定バレるんだけど。

「大丈夫か? 何かあんなら言えよ名前! なあ!」
「や、ちょっ……ひぎゃーっ!」

 十代にインナーごと、めくられてしまった。おかげで胸が丸出し。
 ちなみに、さっきの不吉な音はブラのホックがはずれた時のものだ。もちろん、はずしたのは十代。本人は「手が滑った」と、しらを切るが絶対わざとだ。

「見えた見えた! 名前の黒ずんだ乳首にでけぇ乳輪!」
「く、黒ずんでないしデカくないもん!」
「何言ってんだよ中古のくせに。お前はどの店に行っても買い取り拒否だぜ!」
「そんなことないもんっ!」

 耳を塞ぎたくなるような言葉責めに自然と涙目になった。胸を隠したら乳首に絆創膏を貼られるし、酷すぎる。
私が優勢だったのに、どうしてこうなるの。

「あー悪かったよ。ごめん」

 十代は謝りながら、私の額にキスを落とした。そして、目を細めて優しい笑みを……見せながら指を突っ込んできた。どこに、とは聞かないで。ああ、痛い。めっちゃ痛いです十代。私がそう言えば「じゃあもっと増やすか!」と、指を一本、二本、三本……。

「私、本当に十代の恋人なんだよね?」
「いや? ああ!」
「どっちよ!」

 答えはどうあれ、結局犯されるのであった。
 

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