短編2

□赤ちゃんの作り方
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赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、と親に教えられたことはないだろうか。
実は遊馬もその一人で、後々名前の悩みの種となるのだった。

「名前姉ちゃん、本当にヤんの?」
「当然。テストも近いんだから勉強しないと」
「ええーデュエルしてえよお!」
「今日は我慢。小鳥ちゃんと明里さんに頼まれてるし、みっちりやるわよ!」

名前は、遊馬の苦手科目である国数英に重点を置いて教えた。理科と社会は平均点らしいので、そちらは後回しだ。遊馬のかっとビングは、勉強には向けられないので少々骨が折れる。
彼はアストラルに助けを求めたが、鍵から出て来なかったとのこと。

「もう無理ングだぜ俺……」
「始めたばっかでしょ。で、保健はどこから?」
「ここ。体育なら得意なんだけどなあ」

範囲は、性行為についてだった。
名前にとって遊馬は可愛い弟のような存在だ。しかし、生殖のしくみを年頃の少年に教えるとなると、抵抗がある。

「なあ、名前姉ちゃん。赤ちゃんってコウノトリが運んでくるんじゃないのか?」
「遊馬、本気で言ってる?」

名前は頭が痛くなった。将来困るのは遊馬である。正しい知識を身につけて欲しかった。

「遊馬、赤ちゃんはね作るものなの」
「マジで?」
「ええ。よく聞いてね大事なことなの」

名前の特別講義が始まった。遊馬は分からないフリをして、途中何度も聞いた。真面目な彼女ならきちんと答えるだろうと確信していたのだ。純情な彼女から放たれる淫らな言葉の数々。正直そそるものがあった。さらに、恥辱に耐える理由が自分とくれば、遊馬も興奮するしかない。実践と称して、今すぐにでも愛しい人を孕ませたかった。

「分かった?」
「俺のせーし!と名前姉ちゃんのらんし!が一つになって」
「こ、こら! そんな大きな声で言わないの!」

さりげなく自分と名前を例にしてる辺り、遊馬の底知れぬ恐ろしさを感じた。例、というより願望だが。

「名前姉ちゃんに質問!」
「何?」
「俺のせーしと名前姉ちゃんのらんしが出会うには、どうしたらいいんだ?」
「……えっ?」

名前は顔を真っ赤にして「それは……」と口ごもってしまった。遊馬は可愛いなあと思いつつ、質問を続けた。名前の痴態は遊馬にとってのご褒美である。

「どうやったら赤ちゃんができんの?教えてくれよ。俺わかんねぇもん」
「その、中に……遊馬が……」
「ちっとも聞こえないぜ」
「わっ私の中に遊馬が入るの!」

遊馬のためと割り切っているものの、羞恥心は消えない。それは遊馬にも感じ取れた。だから彼は名前を苛めるのだ。

「で、具体的には?俺はどこに入ればいいの?」

遊馬はまだ満足してないのか笑顔が妙に怖い。

「答えられるわけないでしょっ!」
「名前姉ちゃん、なんか怒ってる?」
「う、いや。そうじゃなくて」

たかが子ども相手に大人げなかったかもしれない。しょんぼりする遊馬を見てそう思った名前。彼女は何だかんだ遊馬に弱い。結局折れることになるのだから。

「名前姉ちゃん」
「私の……んこの中に遊馬のお……ちんを」
「名前姉ちゃーん!」
「私の、おまん……こ、の中に遊馬のおちん……ちん、を入れるのよ!」

名前は、ぜえぜえと息を切らし涙ぐむ。一方遊馬は待っていたと言わんばかりに歯を見せ、にかっと笑う。
全ては計画通りだ。

「サンキュー名前! 実際にやってみようぜ!」
「遊馬!?や……いたッ、いっ痛い!」
「かっとビングだぜ俺!」

事を始めてすぐにアストラルが帰還したが遊馬は黙っていた。最中よりも事後に「ぜーんぶ見られてたぜ!」と伝える方が楽しそう、という理由で。
 

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