君色吐息
□桜ひらひら
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馬鹿だと思った、私は一生懸命になればなるほど空回りするのに‥
いつまで経っても一人で、周りの人にいつまでも気に入られようとして、また空回りするんだ。
それはいつになっても、そう高校生になってもずぅっと変わらないんだ。
とか思ってたのに‥
桜ひらひら
「ねぇ、景子ちゃん話聞いてる〜?」
まゆちゃんに話し掛けられてぼうっと見ていた窓の外から視線を教室へと戻す。
「‥まったくー、5月の校外学習の話してたのにぃ‥このあと班決めだからねっ!」
「ハ、ハイッ!」
周りからは「また林の事虐めてるな、まゆは」と男の子達に茶化される。
まゆちゃんは賑やかな女の子でもあるが、とってもかわいらしくて思わず見とれてしまうほど。
少し染めた甘栗色の髪の毛も、ほのかに香る優しい香水の匂いも‥全てがお洒落な女の子象徴みたいな。
私にとっては、凄く憧れる存在―
「―‥ッ」
私は取り柄なんかなくて、真っ黒の長い髪の毛も切れ長の目も少し高めな身長もかわいらしさなんて一つも無い。
不思議なのはそんな私に唯一話し掛けてくれるのは、まゆちゃんということ。
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