蒼き女王

□7GAME
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チェリーside……



神奈川から帰って数日後。
私は国光と共に校内戦の組み合わせを考えていた。
とは言っても、女子の方はもう決まってるんだけどね。
暇だから眉間にしわを寄せて悩んでいる国光に近寄った。


「ねーえ?明日のレギュラー決めどうですか?手塚部長!」

「なんだ、そのにやけた顔は。」


気持ち悪い、と小さな声で言ったの聞こえてるんだからね国光くん?


「例年通りやるなら、一年生は参加できない。つまり、レギュラーにはなれない。
伝統だものね?国光のときもそうだったからしょーがないっちゃあ、しょーがないけど。」

「言いたいことがあるならハッキリ言え。」


鋭い視線をこっちに向けるものはやめてよね。いくら迷ってるからってさ。


「わかってるくせに。国光だって迷ってるんでしょ?
"アイツ"をその性格がモロに出てる綺麗な線の対戦表に入れるか、どうか。」

「……。」


ほーら、図星。
昔っからわかりやすいのよね。


「別に部長は国光だし、私は男子のレギュラーがどうなろうがしったこっちゃないけどさ。
"あんな思い"した国光だからこそ、その空白の枠に名前を書くと…私は思う。」


真剣に言えば、国光は少し顔をしかめた。


「それはお前が越前と昔からの知り合いだから入れろ、と言ってるのか?」

「馬鹿言わないで。私はそこまで優しくない。
国光だから、言ってるの。
私との約束、守ってくれるんでしょ?
国光は今まで、私に嘘ついたことないもん。」

「ふっ…。」

「今、笑ったね?!」

「うるさい。いいからさっさと帰れ。
どうせ、明日見に来るんだろう?」

「女子のレギュラー決めは男子の翌日だからね!」



***

国光からかったら追い出されちゃった。そのまま外に出ると男子コートがなにか騒がしい。


「なにしてんのー?」


ちょうどコートにいた不二たちに声をかけると、シーって言われた。なになに!めっちゃ楽しそうな顔してんじゃん!


「こっちおいでよ、チェリー。おもしろいものが見れるよ。」

「なになに!……あ、リョーマだ。なぁに?あのラケット!あはは!あーんなガットもふにゃふにゃのやつどっから持ってきたのよ。」


ケラケラ笑っていたけど、あれ?試合やるの?それで?えっ?!えっ?!


「男子部室にあった古いラケットなんだよ。荒井のルーキー扱きってとこかな。」

「あんたたちいいの?止めなくて。部長様が怒るわよ〜?」

「あれ?チェリーは怒らないの?あぁいうの大嫌いでしょ?」

「まぁね〜。でも、怒るまでもないんじゃない?ほら、本人もう使いこなしてるし。」

「え?」


リョーマの方を指差せば、不二は驚いてコートを見た。
おじ様に指導受けてきたんだからあれくらい使いこなせて当たり前。
これじゃぁ怒る気がしないよ。逆に荒井くん気の毒。喧嘩売る相手を確実に間違えてる。


「男の嫉妬は醜いね。でも、」

「女子に比べれば可愛いもの、だろ?」


清々しい顔で言ってくれるねぇ。


「へぇ?さすが不二。女の嫉妬は見慣れてるってわけね。モテる男は羨ましい限りだこと。」

「チェリーの嫉妬なら大歓迎だけど?」

「冗談!私に嫉妬させたらグランドスラムもんよ。」


あ、さすがに世界四大大会制覇は言いすぎたかも。まぁいいや。
不二、笑ってるし。


「じゃあ、もし嫉妬させたらボクと…「あ、」


二階にいる国光とふと目があった。
あぁ……ヤバい。あれは絶対、走らされる!
リョーマはこれ見られてたならレギュラー戦出れそうだけど、私がヤバい。この間の10周がきいたからね!
逃げよう。すぐ逃げよう!


「じゃあね!不二たち!」


私が逃げた後、手塚の命令を携えた大石が来て全員グラウンドを走らされたのは言うまでもない。
よかった。うまく逃げ出せて!


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