蒼き女王
□1GAME
2ページ/6ページ
4月――青春学園の大桜は花を咲かせた。
桜は人々を魅了する力があると言う。
だが、それ以上に…人々を魅了してやまない一人の少女が木の下いた。
胸元まである、流れる群青色の髪。
それに呼応するスカイブルーの透き通った瞳。
女性的でスラッとした体型。
桜色と水色の対比は一枚の絵画のよう。
少女と言うには、あまりに美しく大人びた彼女は舞い散る花弁を手に取った。
「今年でこの桜も見納めか…。」
この桜が咲いたのを見るのは、彼女にとって三度目だった。
大桜と何を考えているのか…桜を見上げながら憂いを帯びた表情を見せる彼女は、
言葉では言い表せないほどに神秘的であった。
「チェリーっ!もうすぐ新入生が来ちゃうよ!」
遠くからチェリーと呼ばれた彼女は、ハッとして振り返った。
「大変!今、行く!」
走り出す前にもう一度
桜を振り返り見上げた。
さっきの憂いた表情とは打って変わって
今度は優しげな微笑を浮かべると、すぐに呼ばれた場所へ向かった。
*