鬼畜眼鏡 ※R18
□捨てネコ
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R18です。大人のお姉様、お兄様だけお読みください
いたい。どうしようもなく。
さんざん酷使された身体も酷かったけれど、今はそれじゃない。
こころだ。
奴隷といわれ蔑まれ、求めては拒絶される。
あいつは、佐伯は私なんて多くの玩具の中の1つとしか思っていない。
最近では姿を見ることすらほとんどなく、繋がれ、どうしようもない性欲は与えられた淫具で、自分で片付けるしかないのだ。
私は、もう佐伯を見ることすらできないのだろうか。
このまま、一人で醜く朽ち果てていくのだろうか。
佐伯が好きだ。
ここまで私を壊した佐伯が。
それは佐伯が絶対的な快感を与えてくれるからではなく、純情な恋心だった。
なんであんな、自分の最も嫌いな類に入る男を好きになったのか。
それは、自分の趣味を疑うほど馬鹿げた感情だった。
でも、好きなのだ。
どうしようもなく。
こんなことはあり得ないと思っていた。
どうかどうかどうか、神様がいるのならば、無理承知で聞いてほしい。
あの男を私にください。
いや、くださいなんて突飛なことはいえない。
それは奴隷にあるまじき感情だ。
1分でも、10秒でも、1秒でもいい。
あの男の心に私だけを映して。
私だけを求めて。
私だけを
愛して。
その時初めて、じぶんが泣いているのだと、気づいた。
止まらない、止まらない、その涙は涙腺をも壊していく。
私も、壊れてしまえばいいのに。
身体ではなく、心の奥深いところが。
折れてしまえばいいのに。
止まってしまえばいいのに、すべて。
何も感じない人形になってしまえばいいのに。
それでも、どんなに願っても拝んでも自分が、自分を、御堂孝典を捨てられない理不尽さに、また涙があふれる。
こんな恋ならしなければよかった。
こんな感情知らなければよかった。
自分が枯れていくのを、乾いていくのを、確かに感じていた。
「っ・・・さえき・・」
嗚咽とともに零れた名前は、最愛の人に届くことなく消えていく。
忘れないで、忘れないで、忘れないで・・・。
お前がいないと私の存在意義が無くなってしまう。
きっと子供なお前は、そんな滑稽な玩具は捨ててしまうだろ?
だから、愛して。
これ以上は耐えられない。
お前に堕ちてやってもいい。
だから、
「・・・忘れないで・・っ」
そこで目の前が黒く霞んでいった。
心が悲鳴をあげながら。
真っ暗だった視界の隅で小さく明りが灯った気がした。
消えそうに揺らぐ、小さな小さな光だ。
それはまるで自分のようで、目について、控え目に瞼を押し上げた。
いきなり明るさに触れた眼球は、苦痛を訴えた。
ぐにゃりぐにゃりと揺れる視界の奥で、誰かが何かを言っている。
「・・・どう・・・みどう・・」
呼んでいる。自分を。
どこか懐かしい、愛しい声が。
だけど、どうでもいい。
もう何をするのも面倒だ。
うねる視界にピントを合わさずにいると、突然、頬に鋭い痛みが走った。
パンっと大きな音を立てて御堂を襲った痛みは、じわじわと鈍い痛みとなって御堂を苛んだ。
この刺激に世界が一気にクリアになる。
「奴隷は主人が呼んだら、すぐ応えないといけないって教えただろう?なぁ、御堂」
ずっとずっと、焦がれていた声が自分に降ってきた。
言わなくても、分かっていた。
その声の主が
佐伯だと、
最愛の人だと。
不測の出来事にほおけて固まっていたら、佐伯の苛立った声の後に、二発目が飛んできた。
先ほどの痛みの残っている場所を叩かれて、現実に無理矢理引き戻される。
二度目の激痛は、流石にリアクションせずにはいられないものだった。
「・・っ・・いた・・・」
「やっとお目覚めか?ご主人様の命令守れなくて、御堂は悪い子だなぁ」
態と詰るような、蔑むような声音で、一言一言を紡いでいくような佐伯さえも、今の御堂には愛しい存在だった。
「・・・佐伯・・・」
「ん?何だ?」
「・・・私は・・ずっと、・・っう・・・」
嗚咽がして、そこから先の言葉が紡げない。
待っていた。好きだ。と、その言葉が。
傷つきすぎた心が、甘やかされるのを期待している。
優しい言葉に飢えている。
「会いたかったんですか?」
「・・・ああっ・・・ず・・と、」
涙が止まらない。涙腺なんてとっくの昔に壊れている。
顔がぐしゃぐしゃになっても、涙を拭う余裕なんてない。
御堂を見て、佐伯がやわらかく微笑んだ。
一番見たかったその顔を、照れくさそうに見つめて、御堂も微笑み返した。
そんな御堂に、眼鏡の奥の瞳が妖しく光ったことは分からなかった。
「ごめんなさい。長い間一人にしてしまって」
「うん、うん」
佐伯の言葉に耳を傾けて、一文字たりとも聞き逃さずようにしていた御堂が、満面の笑みで何度も頷く。
だからこそ、この後訪れる絶望を、身構えることなんてできなかった。
「淫乱な御堂さんには、俺が置いてった道具なんかじゃ、物足りないですよね」
あまりに予想外で、的外れな言葉に意識が追いつかない。
しかし、身体は今の言葉に隠れる、確かな恐怖に気付いてカタカタと震えだす。
「さ、えき・・・?なにを・・・」
身体が震えていることに気付いて、佐伯が舌打ちした。
「だから言ったでしょう?貴方は俺が欲しくて泣いていたんだろ?物分かりの悪い子は好きじゃないぞ」
今の事態を漸く把握した御堂の身体は、余計に震えを増す。
すでに傷つき、ボロボロだった心が、握り潰され、壊れる音を、御堂は確かに聞いた。
それからは、半狂乱になって泣き叫んだ。
「いやだあっ!違うっ、ち・・が・・・、ひっ・・く」
「何にも違わないだろう、御堂?だってお前のここは、俺を見ただけでこんな風になっちゃうんだならなあ」
ここ、と言った佐伯の指が指していた御堂自身は、すでに固く勃ちあがり、先端からは蜜を溢していた。
予想外な自分の身体の反応に意識が追いつかない。
世界が自分を置いて遠ざかっていく。
見えるのは涙で滲む視界の先に見える、支配するものの目をした佐伯の顔。だけ。
恋するのも、縋るのも、求めるのも、想うのも、焦がれるのも、全て。
この男にしかできない。
世界一憎くて
世界一愛しい
この男に。
真新しい涙が御堂の頬を伝ったその瞬間…。
「う、ああああぁぁあああ、やあぁああ」
佐伯のものがいきなり後孔に突き立てられた。
あまりの痛みに瞼の裏が真っ赤に染まる。
感覚からそこが裂けたのだと分かった。
それからはただひたすら腰を揺すられ、無茶苦茶な佐伯の行為にただ涙を流した。
「・・・やあっ!!・・・痛・・っ、・・・待っ、さえ・・・いたぃ」
「・・・なに、がいたい・・だ、俺の、を締め付けて、離さないくせにっ」
もうだめだ。と、そう思った。
これ以上されたらもうこの男を愛せない。
今まで認めなかったのは、憎んでいる、と自覚するのが怖かったからだ。
痛くて暗くて苦しい。
これより堕ちることができるというなら、今より下を見てみたいくらいだった。
そう、ここは奈落の底だ。
それからは自分の欲望だけを優先して、腰を打ちつける男の行為に、真っ暗な闇に吸い込まれ、意識を失った。
***追記***
ものすごくなんだかな、ッて感じな小説になってしまいました。
分かってはいたんですが、ここまで駄文だと、ちょっぴり落ち込みますね(´q`)
続きます。
夏コミいきて――