逆転裁判   ※R18

□カンチガイ
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※R18です。大人のお姉様、お兄様のみご覧ください。






「・・・っ・・うあぁ・・やめ、・・ろぉ・・・」
めったに聞けないであろう、御剣の艶やかな嬌声が成歩堂の笑みを深めさせた。
御剣は手首を手錠でつながれ、自身をネクタイできつく戒められていた。
下肢の蕾は、震えながら刺激を与え続ける淫らな玩具を吞みこんでいる。
熱を解放できない苦しさからか、はたまた、好きな相手にこんな扱いをされているからか、御剣の瞳は涙を流し続けて、睫はすっかり重くなっていた。
「御剣が悪いんだよ?僕を怒らせるようなことするから」
と、満面の笑みに似合わない、冷たい声音で成歩堂が言う。
「・・・ちがっ!・・ふぁ・・・ん・・・あぁぁぁあああっ」
成歩堂にバイブの振動をいきなり強くされ、必死に紡いでいた言葉が自らの喘ぎで遮られる。
「何にも違わないでしょ?あの男にも同じことされた?」
「ちが・・う・・なる・・どぉ・・話を聞いて・・くれ・・あぁっ」
自身を擦られ、口の端から唾液が流れる。
どうすればこの男は自分の話を聞いてくれるのか。考えすぎて頭が痛くなってきた。
もう一度一から考えてみようと、数時間前の自分を思い浮かべた。

          *+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

その日は成歩堂の誕生日前日だった。成歩堂の家に居つくようになってから、ご飯だの、下手ながら掃除や洗濯だの、彼には結構な面倒をかけているのだ。
せめてものお返しに誕生日ぐらい良いものをあげようと、成歩堂との約束を返上して買い物に出掛けた。
のは良いが、
(あいつは何が欲しいんだ?)
という難題に直面した。
何が欲しいというよりも、成歩堂には必要な物が多すぎる。たくさん買ってもいいが、金が無限にあるわけでもない。安いものというのは嫌だし、結果として何を買うのかわからないのだ。
困ったあげくやっぱりそういうのは、人に聞くのが一番だ。と思い、最近結婚したらしい知人に電話をしてみた。
「あ、もしもし怜侍・・・」
『えっ!怜侍!久しぶりじゃないか!元気かい』
「あ、あぁ。元気・・・」
『そりゃよかった。最近全然電話してくれないから、心配してたんだ!』
相手が自分の語尾を無視して話してしまうせいで、用件が告げられない。
「すまなかった。それで・・」
『ん?』
「麻貴、頼みがあるんだが・・・」
『え、なになに?』
ちゃんと話を聞いてくれたことにほっとしながら、御剣は本題に移った。
「誕生日のプレゼントを買いたいんだが、その・・何を買えばいいのか判らなくてな。麻貴ならこういうことには詳しいんじゃないかと思って・・・」
『うん。じゃあ付き合うよ。どこで待ち合わせする?』
「ありがとう。うむ、どうしようか―――――・・・」

『うんわかった。じゃーねぇ』
プッと無機質な音が鳴って電話が切れた。
あの後、意外にもさくさくと予定は決まり、後は麻貴を待つだけとなった。
本格的に計画ができてくるとなんだか楽しくなってくる。成歩堂の喜ぶ顔が手に取るように浮かび思わず笑顔になった。


「おーい!怜侍ぃ。待たせた?」
と、待ち合わせの時間ぴったりに麻貴が息を切らせて来た。
「いや全然」
と、言いふわりと微笑んだ。
「・・・にしても、しっかりしたな。」
昔、出会ったときはいかにもチャラチャラした格好で、あまり良いとは思えないような奴だったが、今日は、ピシリとスーツを着込み、髪もきちんとまとめてある。
「奥さんができたからか?」
「ははは。かもね」
と、陽気に笑って返事をする彼に心がリラックスした気がした。
「じゃあ・・・行くか」
そして、近くのデパートへ歩き出した。

「いやあ。よかったね。良いものが買えて」
「うむ。麻貴のおかげだ。ありがとう」
あの後、麻貴のアドバイスによってすぐプレゼントは決まり、時間が余ったので二人
で近くの飲み屋にいった。
「・・・にしても、いいよなー。怜侍にこんなに特別扱いしてもらえるなんてさぁ。うらやましいよ」
「えぇ!?そんな特別なんてことはないと思うが・・・」
麻貴の心外な一言に声が裏返ってしまう。
「いやいや、怜侍が思ってなくてもそうだよ。だって俺、法廷以外の怜侍のあんな真剣な顔初めて見たもん」
「わ、私はいつも真剣だが・・・」
「んー・・・。なんか違うんだよね。必死というか、一生懸命というか・・・」
「・・・」
言葉に詰まった。
(私はあいつのこと・・・特別だと思っているのか?)
脳裏に成歩堂の顔が浮かんだ。
途端カッと顔が赤くなり、身体が熱くなった
「怜侍?・・・なんかすごく赤いよ?大丈夫?」
「う、うむ。さ、酒を飲んだからだ」
「そう?ま、とにかくかえろっか。」


「・・・れいじぃ〜〜。も、一軒だけぇ」
「だめだッ!まったく、寄らなければよかった・・・」
あの後、麻貴においしい店があると聞いて、行ったのがそもそもの間違いだった。
麻貴はかなりの酒豪だったようでその店で飲んで飲んで飲みまくって、酔い倒れる麻貴を引きずる今の状況だ。
(まったく、迷惑をかけるところはちっとも変っていない!!)
「・・・・・・・・・」
「・・・おい、麻貴?」
肩口から顔を覗き込むと、それはそれは穏やかな顔で眠っている麻貴がいた。
「・・・・・・・。」
だが、そんな穏やかな顔は今の御剣にとって怒りの材料でしかない。

「・・・ん・・れぃじ・・・」
ぽつりと寝言を言った麻貴に少しだけ心が緩和された。
(・・・今日ぐらいは甘えさせてやるか)
麻貴の勤めている会社はそれはそれはきついと、今日酔った麻貴の口から聞いた。
いつもは愚痴なんて絶対言わない麻貴だったが、酔いが回って無意識に言ってしまったのだろう。
よく考えてみれば、先ほどから抱きかかえている身体がやけに軽い。
バカで一生懸命な麻貴のことだから、ろくに飯も食べずがんばってきたのだろう。

それはそうとして、今はこの状況をどうするかを考えなくてはいけない。

いくら軽いと言ったって、自分より大きい大人を連れて帰れるほどの力はもう御剣には残っていなかった。
それに、御剣にも酒が入っており、先ほどから足がふらついてしょうがない。
「・・・くっ・・」
麻貴を支えている腕がカタカタと震える。
このままでは力尽きてしまうと思い、御剣は視線を彷徨わせた。
すると、一つの建物が目に入った。
その建物は、チカチカと下品なピンク色のネオンをまとって光っている。

俗に言う、ラブホテル、というものだ。

そんな場所に高貴な御剣が行ったことがあるはずもなく、多大な躊躇いがある。
しかし、そんなことを言っている暇などとっくにない。
意を決して自分が最も行きたくない類の建物へと足を進めた。

そんな御剣を見ている人物がいるとも知らずに・・・。

中へと入るとロビーへ向かう途中、たくさんのカップルとすれ違ったが誰も、二人を見て驚くことはなかった。
自分たちと同じような用途で使用している男女や同性もたくさんいて、ホッとした。
部屋をとって、鍵を片手に静かな通路を歩いて行った。

部屋に着くと、まず、とにかく、備え付けのベッドに麻貴を下ろした。
ふう、と一息ついた。
腕が麻痺するように痛い。それに酔いが回って頭がくらくらする。気持ちが悪い。
色んな症状を落ちつけようと、御剣もベッドにどさりと横になった。
ギシリと安い音をたててベッドが軋む。
次の瞬間、急激な睡魔が御剣を襲った。
どうしようもなく、眠い。
隣を見ると、すうすうとよく眠る麻貴の顔がある。
ちょっとだけなら、そう自分に言い訳をついて御剣はゆっくりと瞼を閉じた。


「・・・ぃ、・・いじ・・れいじ・・・」

小さく、自分を呼ぶ声を感じて、御剣はそっと目を開けた。
闇に慣れた眼球は差し込む光に苦痛を訴える。
「・・・ぅん・・・っっ!!」
少し目を開いたところで、意識がはっきりと覚醒した。
勢いよく、ベッドから起き上がる。
すると、途端眩暈がして頭がグラリと重くなり、上半身だけでうつ伏せる体勢になった。
「おいっ!大丈夫か、怜侍!!」
「あ、ああ。すまない大丈夫だ・・・」
「ちょっと待ってて、今水もってくるから!」
そう言って水道向かった麻貴は、きちんとスーツを着込んでいた。
それに比べて御剣のスーツは、型が崩れ見るも無残な姿になっていた。
時計を見ると短針は1時を指している。
ちょっとと言いながら、結局熟睡してしまった自分に自己嫌悪しているとき、麻貴が小さなコップに水をたっぷり入れて帰ってきた。
はい、とコップを控え目な笑顔を向ける

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