☆日一小説2☆
□Without separating me
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「……綺麗だな。」
…冬獅郎と草冠の悲劇の戦いが終わって早二週間が経った。ほぼ機能不能状態だった十番隊も、乱菊さんや隊士のみんなのおかげで徐々に活気を取り戻している。
…まぁ、冬獅郎が戻ってきてから乱菊さんはサボリに戻っちまったみたいだけど;
「……。」
最初から何も無かったかのように澄んだ星空。ふと胸に手を当ててみる…。
…十番隊が機能し始めていても、俺の心は何処かポッカリと穴が空いたみたいに物足りなさを訴えてる。
現世で冬獅郎を見つけたとき、正直驚いた。
痩せた身体、青白い顔…。苦しそうに歪められた眉間…。明らかにいつもと違う冬獅郎に、俺は驚愕した。
『何があった』と尋ねてみても返ったきた答えは信じられないもので
『お前には関係ねぇ。』
何故…?何故何も話してくれない。仲間を…恋人を頼ろうとしない。関係ない筈が……
あっただろうか。
「…ふ……ぅ。」
泣けば分かるだろうか。冬獅郎が俺を頼ってくれなかった理由を…。名を呼べば教えてくれるだろうか。冬獅郎を護れた理由を…。
「…何泣いてんだよ。」
「と…しろ…?」
フワリ、と背中に鼓動と温もりが感じられる…。何ひとつ変わらず、懐かしい、冬獅郎の温もりが…。
それだけで心にあった不安も消え失せてしまいそうだけど…。
このまま言ってしまおうか―…
自分の拳を強く、握る。
「なぁ、冬獅郎。」
「…何だ?」
「何で…、あの時俺を頼ってくれなかったんだ?」
「っ!?…。」
「俺って…そんなに頼りない、か?」
「……。」
黙ったままの冬獅郎。この一時の沈黙も俺の不安を大きくさせる…。それを知ってか知らないでか、冬獅郎の腕の力が強くなった気がした。
「っ、なぁ冬獅…郎?」
「…一護。」
振り向いた俺の目には、あの時…、冬獅郎が俺に向けた顔…。忘れもしない、苦しそうに歪められた表情…。目と目を合わせられ、ゆっくりと告げられる。
「…違うんだ、一護っ…!!」
「何、が…、何が違うんだよっ!!!!」