★小ネタ☆
□それを愛と云うのか
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こいつにとって俺は、敵であり切っても切り離せない仲
光があれば影ができ
表があれば裏がある
太陽が沈めば月が世界を支配する
お前を知り尽くした俺に、愛や思いやりなんざ必要じゃねェ
…だから、こんなにも腹が立つ。この感情がなんなのか知りたい反面、うざったくてしょうがねェ。
「なァ、教えろよ。テメェの護りたいモンを!!」
その目線の先には何が映ってるんだ?
「見えねぇモンに頼んな!!だからテメェは甘ェんだよッ!!」
テメェの言う『力』の根源は俺だろ!?
届くはずもない矛盾と訴えは、鋭利な刃物のように深く突き刺さる。
俺がつけた傷口からは鮮血が漏れ出し、ソレは俺がコイツに伝えたい語源に過ぎない。
「俺は…ッ、テメェの指図は受けねぇ…!!」
「答えになってねェよ、そうやってまた俺から逃げんのか?」
そのか細い喉に手を伸ばし、おもむろに力を加える。途端俺を睨みながら苦しそうにもがき出す。
このまま、いっそのこと絞め殺してしまおうか
勿論そんなことすれば、俺もコイツの中から消える。消えて、跡形もなく、白く塗りつぶされていた世界は黒へと塗り替えられる。
…だから、同じだ。
コイツと俺の立場が逆になったとして、俺の喉元に刃物が突き立てられていても
「…形勢逆転、てか?」
「…」
「殺してみろよ、テメェが嫌う俺を」
俺は弱ぇ奴は嫌いだ
だから今にも泣きそうな面したテメェも嫌いだ。喉元に突き立てられていた刀が、音を立てて床に落ちた。
「…俺は大切な仲間を護るために戦う」
「ハッ、奇麗事ぬかしやがって。」
「てめぇが、俺を嫌いなのはよく分かってる」
キライ・・・?キライってぇのは、想いとか感情から来るモンだよな
んなモン、俺に押し付ける時点でお前は間違ってるぜ…?
「好き嫌いなんかで、俺がお前に力を貸してやるとでも言いてェのか?」
「違う!!…けど、お前ともしうまくやってけるなら、俺はみんなをこの手で護ることが出来ると、そう思ってる…!!」
嗚呼、何なんだテメェって奴は
その全てを見透かすような目が物語る。俺とお前の存在比率
テメェはさっき、俺がお前を嫌ってると解釈したみてェだが、それは違う。
少なからず、俺がテメェの中にいる以上俺はお前に尽くすしか能がねェ。
だから俺はてめェを…黒崎一護という人間を、ひとりの死神として、ひとつの魂として愛す(みる)
…俺と似すぎた以上、テメェはもう逃げない覚悟を決めたも同然
「…指図に従ってやるよ、王よ」
契約のように
縛り付ける口実でも構わない
…俺は今、コイツに−…
影は光によって服従し
月は崩壊し太陽を崇め始める。
運命じゃないかと疑うんじゃなく
ソレを愛だと、信じてみようじゃねェか
END