☆山獄小説☆

□お前まさか…UMA?
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チュン、チュンチュン。



外に鳥の鳴き声が聞こえた。
眠たさを覚えながら目を開くと、リビングから物音が聞こえる。
一瞬敵かと疑ったが、敵ならば寝ている間に
俺を襲うはずだと思い、考え直す。
物音に聞き耳を立ててみれば、食器の音や包丁がまな板を打つ音。


これはきっと……


ある人物が頭に浮かび、寝室からそろりと顔を出す。
そこには、黒い短髪の長身な男が気分よさげに台所で料理をしていた。

…やっぱり。

俺の家の鍵を持っていて、なおかつ台所で料理を作るような奴。
まぎれもなく、山本だった。
色々と言いたいことはあったが、
とりあえず呼んでやろうと思い口を開いた……その時。

「獄寺ぁ。いつになったら『おはよう』っていってくれんの?(笑)」

物音1つ立てなかった俺に向かって、だらしない笑みを向けながら言ってきた。
言うの待ってたのになぁ…なんてこぼしながら。

まさか俺が起きてることに気づいてるなんて思いもしなかった俺は、正直すごく驚いた。

「…いつから気付いてやがった。」

「ん〜、獄寺が目ぇ開けた時から?(笑)」

「はぁ?」

何バカなこと言ってんだとか思ったけど、気配を消してた俺にすぐに気付いていたことがあって

『もしかしたら本当かもしれない』と思わざるを得なかった。

ダイニングのいすに腰掛けると、そこには煙草と灰皿。
それからグラスに入ったミネラルウォーターとこれから朝食と呼ぶには
少し遅い飯に使われるであろう箸だった。



要するに、完璧な準備だった。




本日2度目の驚愕。




煙草と灰皿はまだしも、何で俺が4つあるいすの内のここに座るのがわかったんだ、とか
何で朝だけしか飲まないミネラルウォーターを用意してんだ、とか。

次から次へと謎が浮かぶ。そして極めつけは山本が持ってきたブランチのメニュー。


「獄寺お待たせっ☆今あんまお腹すいてないだろ?
だから雑炊にしたぜっ。」





………………………………………。























「お前まさか…UMA?」
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