☆山獄小説☆

□どうかこの期待を裏切って。
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「おい、山本ー。お前もうギブアップなのらよー・・・。」


「・・・まだまだ行けるに決まってんじゃんっ。」


「嘘つけー。もう無理らくせによー・・・。」


「獄寺の方がよっぽど嘘つきじゃんっ。・・・ろれつ軽く回ってないしっ。」



俺と獄寺は今、俺んちで一緒に酒を飲んでる。未成年の飲酒って本当は禁止なんだけど。
しかも、なんで普段からとても仲がいいとは言えない俺と獄寺が、一緒に酒を飲んでるのか。
それは、今から一時間ほど前にさかのぼる。

・・・―――――――





















日曜日の朝。俺は日課のバッティングセンターに行った後の帰り道だった。
並盛商店街を歩いてたら、一人浮き立つ銀髪の見知った顔。
そう、獄寺がコンビニの前でうろちょろしてた。


ここだけの話、俺、獄寺の事、好きなんだ。
あの容姿はもちろん、素直じゃないけど実はすごく優しいトコとか、あー見えて寂しがりなトコとか。
だから、街中で獄寺を見つけた瞬間心臓が飛び跳ねそうだった。
それと同時に、心の中でガッツポーズ。休みの日に獄寺に会えるなんて、俺ってラッキー!


でも、よくよく獄寺を見てみたら、何だか様子が変だった。
コンビニに入ろうとして、でもやめて、また入ろうとして。
そんな様子がおかしくて、思わず笑ってた。

おかしくて笑いながらも歩みは止めてなかったから、だんだんと獄寺に近づいていく。
そんで、内心ドキドキしながら声をかける。


「よっ、獄寺!何やってんだ?」


「うわっ!……っ、何だ、野球バカか。」


普通に声をかけたのに、予想以上に驚かれてびっくり。
その時に初めて獄寺が財布を手に持ってる事に気づいて、そろーっと中身をのぞけば、明らかに数十円しか入って無かった。
時間確認のためにケータイを開けば、ちょうど12時をすぎたあたり。





























「もしかして獄寺、…………昼飯買う金持ってねぇの?」


獄寺は何にも言わなかったけど、わかりやすいくらいに肩がびくっとはねた。
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