☆パラレル小説〜嶽〜☆

□大嫌い……だから。
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世界中の、誰よりも、キミのコトが、







……嫌い―――











ウグイスがさえずる小春日和。
ぽかぽかとあたたかい平日の朝。
高校生は高校生として学校に登校しなければならない。


「ったく、なんでまた学校なんだよっ…。」


まぁ、高校は義務教育ではないので、強制という訳ではないのだが。
おまけに今、だるそうに登校しているこの男子生徒は、
その崩した格好から「不良」という言葉がとても似合いそうな生徒であるし。
いかにも学校をさぼりそうだ…。


しかし彼は、無遅刻無欠席というとても真面目な生徒なのだ。
(授業を気分でさぼったりするが;)
おまけに成績はトップクラス。
その風貌・・・と、態度を除けば、絵に描いたような優良生徒なのである。


そんな彼は、また登校時間より早めに家を出て、
高校に行くための電車を待っていた。
しかしその顔は、ものすごく不機嫌だ。
もともと常に眉間にしわをよせているので、不機嫌そうなのは相変わらずなのだが。
彼を通常の倍不機嫌にしている原因があった。


「おっ、おはよ!獄寺!!」



『ピクッ。』


まーた来やがったな…。


「ん?眉間のしわが深くなってるぜ?」


てめーのせいだっ、てめーのっ(怒)


たった今現れた青年、山本武に見えないように握りこぶしをきつくにぎりしめ、
彼を怒鳴りたい気持ちを必死におさえる。

これは決して彼のためではない。
彼のことを怒鳴れば、獄寺自身に頭痛がきてしまう可能性があるからだ。
もともと他人に使う気など持ち合わせていない獄寺である。



朝から電車でこいつと会うなんて…
今日も朝からついてねぇ…。


山本は毎朝図ったように獄寺と駅で会う。
そして獄寺を発見するやいなや必ず傍に寄ってくるのだ。

そうすると必然的に同じ電車の同じ場所に乗るコトになる。
山本を無視したい獄寺は、いすにどかっと腰掛けて下を向いて目をつむった。
そんな獄寺の前に立ち、つり革2本につかまって一方的に話す山本。

毎朝がこんな状態だった。
獄寺は「毎日がついてねぇ…。」と小さくこぼした。

能天気に話続ける山本に、その声は全く聞こえていなかった・・・。



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