☆パラレル小説〜旦〜☆
□Time that doesn't stop
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好きなのに…。好きで好きで仕方ないのに
お互い相手が傷付くのが怖くて
一歩も踏み出せないんだ
「冬獅郎〜!!」
「一護?どうしたんだ。」
向こうから俺の名を呼びながら駆けて来る橙色の髪をした幼馴染…黒崎一護。
一護と俺は幼い頃からのつき合いで、あたり前のようにいつも一緒にいた。そしてとうとう高校まで一緒になった。
…普通ならありえない事だろう
「悪ぃ、英語の辞書貸してくんねぇ?」
……またか。俺とクラスが違う事をいいことに毎回教科書やら辞書なんかを借りに、一護は俺のクラスにやってくる。
まぁ…、嬉しい事この上ないんだがな。
「またかよ(呆)お前は俺がこの学校にいなかったらどうなってんだよ。」
「…悪いって言ってるだろ?さんきゅ♪」
じゃあな〜、と自分のクラスに帰っていく幼馴染を見届けた俺は、丁度終わりのチャイムが鳴り、自席につく。
カッカッカッ…
教師が黒板に文字を書く独特の音が教室に響く。…正直言ってつまんねぇ。幼い頃から天才児と言われ続けてきた俺には、授業が分からない筈もない。
…ただサボると後で一護に怒られるからな、仕方なく出てやってる。
それほど俺にとって一護は大きな存在なのだ。
…ふと隣の席の奴らの声が俺の耳に入ってくる。
「なぁなぁ、お前隣のクラスの黒崎、知ってるか?」
「あたり前だろ!?あんな可愛い奴知らねぇ筈ねぇって…」
「だよな〜…。あいつもしかしたらその辺の女より可愛いんじゃね?」
「つーかこれ噂なんだけどよ、あいつ男からも告白されるらしいぜ?普通に街中でナンパとかされるとか…」
…なんとも今さらな噂だな? 否、正確に言うと「噂」じゃなくて「事実」だな。
一護は昔からモテていた。一見不良なくせにやたらと自分より他人を気に掛ける…。いつも眉間に皺を寄せているのに(まぁ、俺が言えるような事じゃないのだが)ふとたまに見せる、照れたようにはにかむ笑顔…。
誰もがその性分に魅せられ、落ちていった事か。
…俺が一番良く知っている。
俺もその中の一人なのだから…