☆パラレル小説〜旦〜☆

□darkness love
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カシャ、パシャ




カメラのシャッター音が現場に響き渡る。そこに会話などなく、ただ見えるのはモデルとカメラマンの二人の姿だけ…。
通常撮影の場合は、カメラマンの助手、モデルのマネージャーなど、必要最低限の人間は入る事が出来る。何故これまでにも人がいないのかというと、全てモデルの意見だからだ。






「今日も一段とエロいなァ?」



「そーいう風に写してんのは冬獅郎さんだよ…?」




そう言ってクスリと笑うのは、人気モデルの一護。その容姿、性分に魅せられた今の一護の事務所の社長阿近は、すぐに一護をスカウト。普通男のモデルもやらないヌードも、一護は簡単にこなしてしまう…。そんな一護の専属カメラマンに抜擢されたのが、日番谷だった。





「…そうやって舐めるみたいに俺のことみてるでしょ?」



「…嫌か?」



「うぅん…、スッゲェ興奮する。」



ふわりと悪魔な笑顔を見せる一護。二人のあぶない会話は続いているが、その間も一護は、休むことなく誰もが魅了されるようなポーズをとっている。日番谷も不敵に笑みながらも、その手が止まることはない。





「…何だ?今日はずいぶんと淫乱じゃねェか…。」



「そう?冬獅郎さんといる時だけだけど…冬獅郎さんはそんな俺、嫌い?」



「否、むしろ大歓迎だ」



「……冬獅郎さんも、俺といる時だけでしょ?」



そんなエロくなるの…。と、まるで日番谷を試すような口振りで言う一護。するとピタッと動きを止め、レンズから目を離す。レンズ越しから見る一護より、直に見る一護の方が卑怯だ。そのまま不敵に笑み、一護に聞き返す。




「…そんな先の見える質問して、何がいいんだ?それとも不安か…?」



俺が、他の奴を魅るのが。そう挑発的に言うと、目線を下げる一護。白く小さな手に力を入れると、小さく答える。





「…不安、だよ?不安で仕方ない。信用するなんて、とっくに捨てちまったし…。」



どこか昔を思い出すような、遠い何処かを愛おしく思うようで、その感情がとても懐かしく思った日番谷は、コツコツ、と一護に近づく。その音だけがその場に響く。






「…俺が捨てる、とでも?こんな厭らしい奴を…。」



「………。」



「ただでさえ執着しちまうのに、俺が手放すとでも思ったか…?」







そう魅惑的に顎を上げ、頬に滴る雫を吹き払う日番谷は、傍から見たら魔王のようだ。…その言葉を待ち望んでいたかのように、一護は口角を上げ、日番谷の背に腕をまわす。…のと同時に、悪戯が成功したかのように舌を出す一護…。





「…そう言ってもらえると思ったよ。」



「芝居か?」



「気づいてただろ?」



「勿論。」



「だと思った。」





クスッ、と酷く卑怯に笑う一護は、なによりも妖艶で淫乱の他に無い…。そんな一護に気を良くしたのか、日番谷は淡い翡翠色の瞳を細め、一護の唇に荒々しく口づける。
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