☆パラレル小説〜旦〜☆

□そんな2人が合わさると
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「はぁ、はぁ…冬獅郎?」




荒い息を繰り返す一護。友人たちと別れた後、日番谷を探し校内を彷徨っていた。



もしかしたら、もう帰ってしまっているかもしれない…。



そんなことが脳裏を過る。とりあえず教室に戻ろうとその階を歩いていると、話声が聞こえた。





「日番谷くん、好きです。付き合って下さい…!!」



(もしかして、これって…)





中は閉め切っていて見えない。だがその女子の声が震えていることから告白だと察しがつく。しかも日番谷なんてそう聞く苗字ではない。その考えを出す前に聞こえた心地のいいテノール。




「悪いが、俺には好きな奴がいるんだ。」





(…そうか、冬獅郎…好きな奴いるんだ。)





徐々に視界が霞んでゆく。走った時とは違う息の上がり方。胸の内が『なにか』得体の知れないモノに支配されていく。友達の筈だった。だったら好きな人…況して彼女が出来たら応援してやるのが、普通だと思っていた…。なのに




(ごめん、冬獅郎…。)





ふらふらと覚束ない足取りで廊下を走り去る。急いで鞄をひったくるように掴み、出口へと急ぐ。今日はひとりで帰ろう、その方が全然いい。こんな姿、誰にも見せられない。


階段を転げ落ちるように降りる。ゆっくりと歩いていたら、涙が頬から落ちるから。


なるべく早く、早く…




ドンッ!!




「痛っ…って黒崎じゃんか。」



「檜佐木、先輩…」




曲がり角でぶつかったのは、前から一護と面識があり何かと一護に気安く話しかけてくる檜佐木修兵だった。だが一護の表情を見るなり慌て出す檜佐木。




「おいっ、どうしたんだ黒崎!!」



「っ、別に…大丈夫ですよ。」



「大丈夫な訳ねぇだろ!!そんな苦しそうな顔しやがって…!!」





焦りの中に真剣さが見え、何も言えなくなる。すると一護を優しく包み込むように檜佐木は抱き締めた。




「っ!?ちょ、檜佐木先輩…!?」



「…大丈夫だ。こうしていれば誰にも見えねぇから。」



「……ふっ、うわぁぁぁぁぁ!!!」






あんなにも堪えていた涙と想いが嘘みたいに目から零れていく。こうして泣けば全てが終れる訳でも無いのに…。


だけど、今だけ…    今だけは






(泣いても、いいよな。)
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