☆日一小説2☆
□Without separating me
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信じていた…。信じることしか、代行の俺にはできないから。
乱菊さんや、隊士たちとは違って、まだ俺は幼くて、冬獅郎と出逢ってまだ少ししか経ってないから…。
……だからこそ、
ここぞという時には、誰よりも近くにいて、誰よりも先に、冬獅郎の想いを…聞いてあげなきゃいけないのに…。
なのに…。
「っ…ごめん、冬獅郎。」
結局、俺は何も理解してやれる事ができなかった…。
「…馬鹿野郎。」
「…ぇ?」
浴びせられた言葉とは裏腹に、何処か落ち着いていて、優しく包み込むような声調が俺の耳をかすめる…。
「なんでお前が謝るんだよ、隠してたのは俺の方だろ?」
「でもっ、俺…、冬獅郎の傍にいてやれなかったか、らっ…。」
「…お前、本当に何も分かってねぇな。」
「なっ…!ぅわ!!!」
ムキになって突っかかろうとしたら冬獅郎に胸倉を掴まれて、必然的に目線を合わせられる。そこでまた、冬獅郎は静かに口を開いた。
「……お前に言ったら、お前を必然的に巻き込むことになるだろ…。それに、草冠とのことは俺自身の問題だったんだ。」
『迷惑はかけられない』…そう言いたいのか冬獅郎は慎重に言葉を紡いでゆく。
…分かってる。分かってるよ、冬獅郎。
でも、独りもがき苦しむ姿を見てる方が俺には耐えられないんだ…。
「もう、誰かが傷付くのは見たくないんだっ…。」
「あぁ…。」
「今度はっ、ちゃんと言って…?迷惑とか絶対思わない、から…。」
「…分かった。」
「…もう隠し事とかないでくれっ。冬獅郎のもどかしい過去とか、全部全部、俺は受け止めるから…。」
「あぁ、俺の過去はあれが全てだ。もう残ってるもんなんてお前しかねぇよ。」
「っ、冬獅郎…。」
…やっと、やっと冬獅郎と本気で向き合えたような気がする。二人の間にあった妨げは、二人を繋いでいた偽りの糸は…
綺麗に無くなっただろうか―…?