☆日一小説2☆
□閉じた記憶のムコウ
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また、夢を見た。
夜中に目が覚めて、また重いため息が空気を震わせる。
あの姉弟が消えてもう何ヵ月も経つのに、今でも生々しく憶えている。
『もう一度聞く、』
ヤメロ・・・それ以上・・・
『…てめぇは何者だ?』
その事件前から会っていなくて
ルキアのことも心配だったけど、久しぶりに会えることに胸を高鳴らせていた。…けど、
待っていたそれはまるで違くて
冷めた目で俺を見据える、冬獅郎
(あぁ、この瞳は・・・)
絶望の淵の中、ぼんやりとそう思った。
目の前にいる敵に隙を与えないように、
…自分の中にある得体の知れない『何か』にもどかしさを覚えているような瞳。
何で?なんでだよ冬獅郎・・・
刀を退けよ冬獅郎・・・!!
お前を、お前が・・・
『好きなんだよ、冬獅郎…!!』
「っぅ…。」
孤独と絶望に心がボロボロで
その勢いで涙までもが流れそうになる
仕方ないことだったんだ。記憶なんて本当に重要で、軽いものだから。
なのに・・・涙が、・・・
「黒、崎・・・?」
「えっ・・・?」