☆日一小説2☆
□閉じた記憶のムコウ
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月を背負い
窓辺に立つ銀髪
な、なんで!?
なんで冬獅郎が此処にいるんだよ!!
「お前、泣いてんのか・・・?」
「泣いて、ない…!!つか、何で此処にいんだよ!!!仕事は!?」
「お前が、黒崎が悪いんだろ・・・!?」
「っ、意味、分かんねぇよッ・・・」
自分は今どれだけ情けないのだろう。
解決したことを思い出しては頬を濡らして、未だに心が折れそうな感覚に襲われる…。そんな姿を曝したくは、無いのに…
「…涙が、止まんねぇんだよッ…」
「……」
「拭っても、気持ち片づけても…!!!」
いつの間にか、また胸が締め付けられる。
暫く冬獅郎は黙っていたけど、途端に覚悟を決めたかのように、大きく息を吸う音が耳を掠めた。
「…黒崎、今から話すことは嘘なんかじゃねぇからな」
「何、を…?」
「良いから黙って聞いてろ」
冬獅郎の声調から真剣さが伝わってきて、無意識に身体が強張る。でも、あの時とは違う、淡い翡翠色の瞳は穏やかな色で染まっていた。
「俺は…確かにあの時お前に刃を向けた…、それは何度謝っても許されねぇことだと思っている。」
「と、しろ…」
「だがあの時、俺がお前の正体を聞いたときに、お前は僅かに顔を歪めただろ?」
「っ!?」
「…その時、胸がざわついて、悲鳴をあげている事に気付いた。あぁ、俺はこいつの魂を知ってる、と…」
「…」
「今んなると何で忘れていたのが不思議なぐらいだ…、惚れた奴の存在が分からなかったのが」
一瞬、聞き間違いかと、耳を疑った・・・