☆日一小説2☆
□そのままの、君でいて
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「!?…」
「?、どうかしましたか、隊長」
「……いや、なんでもねぇ」
空耳、だろうか
にしてはやけにはっきりと…
愛しい声が、鼓膜を揺すった
死神の力が無くなったことは
朽木の妹から報告がきた。
…分かってる。分かり切っていた。
あいつが今まで、何もかも自分1人で抱えてきたことの重み
それが自分に唯一、与えられた使命なんだと…俺は目の前で、そう無邪気に言われた。
『大事なものを護る』という信念は、いつしかあいつだけじゃないと、確信した。
俺も、お前が
「護りてぇよ、この手で」
この拳を握っても、どんなに伸ばそうと
…もう、お前を遠くから見つめることしかできねぇ
「…隊長は、強いですよ」
「俺は、弱い」
「隊長は…何故一護が、あそこまで強くなろうと思っていたか知ってます?」
「大切な何かを、護りぬくため…だろ?」
「その何かは…隊長なんですよ」
「は…?」
意味が分からない
何故隊長の自分が、何故死神代行に護られなければいけないのか…。
そう松本に問おうとする前に、松本は微笑みながら答える
『俺は代行だ、正式な死神じゃねぇ…。いつ冬獅郎が怪我をしただとか、すぐに知ることもできない。だから…』
「せめて、この手で護れるようになりたい、か…」
「あのこは、いつもそうですよ…」
「…結局、護られてたのは俺の方か?」
「過言じゃないですね」
クスッと笑う松本を背に、俺は想う
一護が来なくなって、静かになったこの世界で…俺は生きる意味を見失ってしまうんじゃないか
何よりも大切な
たったひとつの俺の宝(もの)
今はもう、決してお前の瞳に俺が映ることは無い
……それでも、
「行くぞ、松本。」
「はい。隊長も切り替えてくださいね?」
俺はいつでも、お前のことを
想っているから