☆日一小説2☆
□アザレア
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ガチャ
「ただいまー」
「お帰りお兄ちゃん…って、どうしたのそのお花!!」
家に帰るなり、笑顔で迎えた遊子の顔がキラキラと輝きだした。
…女っていうのは、やたら花とか好きだよなぁ、なんて考えてると、遊子はやっと目線を俺へと移す。
「誰かにもらったのぉ?」
「あ、いやっ、そ、そんなとこだ!!」
「お花送るなんて素敵だね!!」
「そ、そうか!!?」
うん!!と頷く遊子の顔が、まるで本当に自分が貰ったかのように輝いて見えて…、なんとなく、少しだけ羨ましく思えた。
「一兄、その花なんか意味とかあんの?」
「意味…?」
「花言葉のことだよ、お兄ちゃん。今私たちの学校で流行ってるんだ〜」
「たぶんその花、色が白だから恋愛系のことだね、さすが一兄ぃ」
花梨がニヤッと笑うから、一瞬感づかれたと思って冷や汗が流れた。
そのあとは、適当に促して部屋へと一目散。こういうときはネットに限る。
そう思って調べたところ…俺はかなり恥ずかしい花言葉の花を買っていた。
「…タイミング、合いすぎんだよ///」
ベッドに横になるも、自分の頬が熱くて目眩がした。俺もかなり重症のよう、だ…。
こうなったら、届けるしかないだろう。
言葉じゃどうしても伝えられないから、こうやって少し分かりずらくする。
…その方が、あいつはきっと会いに来てくれる。
気付いた時には、俺は花を持って浦原商店へと歩を進めていた。