☆パラレル小説〜嶽〜☆
□大嫌い……だから。
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学校につけば、人気者な山本にはすぐに人が寄ってきて、
その間に獄寺は山本の傍を離れる。
獄寺の場合、誰にでも喧嘩腰な態度から、あまり人は寄りつかないのだ。
「つーかさっ、昨日の巨人対中日見たっ!!?すっげぇ白熱だったよな!」
山本の傍に寄って来たのはどーやら野球部の仲間のようで、
山本は昨日のTVでやっていたであろう野球試合の話をし出した。
だてに獄寺から「野球バカ」と呼ばれるだけはある。
子供みたいにはしゃいで話し出す。
「あー、昨日やってたのかー。俺昨日特番見てたから見てねーよ。」
「俺も月9見てたから見てねー;」
「お前らそれでも野球少年かよっ!!なーなー、誰か見た奴いねーのー?(泣)」
野球部だからと言って野球を見るとは限らないらしい。
しかも昨日は他の番組が豊富だったらしく、試合よりもそちらを見た人ばかりのようだ。
山本は、半泣き状態で聞きまわる。
どこまでも野球好きな山本に、まわりの人間はあきれ笑いをうかべる。
そんな中、一人の男が口を開いた。
「昨日は巨人の一方的な試合だったろうが。全然つまんねぇんだよ。」
教室の窓際にすわっていた獄寺が、いかにもつまらなさそうに言った。
山本はバッと振り返り、獄寺のもとにかけよった。
「獄寺昨日の見たの!?」
さきほどまでとは違って嬉しそうにする山本は、犬のしっぽが見えそうなくらいだ。
あまりの勢いに、獄寺も後ずさる。
『見たの見たのっ?』というオーラを出す山本をじっと見た後、
獄寺は体勢をもとに戻した。
「たまたまつけたらやってたんだよっ、たまたまっ。」
「でも見たんだよなっ!?確かに巨人が圧勝だったけど、あそこの場面で坂本が……―」
山本は獄寺が昨日の試合を知ってるとわかった途端にぺらぺらと話し出した。
山本が話し出したのを苦笑いしながら、さっき集まった
野球部の仲間たちはそれぞれの席に散った。
あそこはこうしたら中日に点が入ってたとか、
だれだれが打てないのはこういうのだだとか。
次から次へと山本から出てくる言葉を、獄寺はただ聞き流していた。
はっきり言って獄寺は野球になど全く興味はない。
むしろスポーツ観戦など暇つぶしにもならないと思っていた。
他にやるコトがない訳でもないのに。
あんなくだらない野球試合。
なんで俺は見てんだろうか。
わかりきったコトを、自分に問いかける獄寺であった。
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