☆パラレル小説〜嶽〜☆

□ボンゴレ in wonderland (前編)
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―隼人…、「不思議の国」って、聞いたコトはある?


不思議の、国?


あなたはきっと、信じないんでしょうね、ふふ。


母……さ…ん―










バッ!!!

獄寺は、うろ覚えの夢の世界から覚醒した。
ゆっくりと起き上がれば、足に鈍い痛み。
少し顔を歪めて、足をさすった。

そう言えば俺、確か穴に落ちて……






獄寺隼人は、貴族には普通にあるお昼寝の時間を満喫していた。
するとそこに、一匹の可愛らしい白うさぎが現れたのだ。
可愛いものに目がないというこれまた可愛い一面を持った獄寺は、
すぐにその白うさぎをおいかけた。
そして、白うさぎがある穴に入って行ったのを見て、穴をそっと覗きこんだ拍子に穴に落ちてしまったのだ。



「ここは……どこだ?」


よくよくあたりを見回してみれば、庭に似ているようで似ていない草原。
穴に落ちた時にワンピースについた土ほこりを払いながら、獄寺は立ちあがった。


チャラ……


ふと後ろから聞こえた、金属のぶつかる音。
振り返れば、先ほど追いかけていた白うさぎだった。
白うさぎの持つ金色の時計につながれた鎖が、またあの金属音を鳴らす。


「ああっ!!!いたっ!」


思わず指をさして、大声をあげてしまう。
一方白うさぎは何やら先を急いでいるようで、
時計を見ながら「遅刻するー!!!」と走ってゆく。


「ちょっと白うさぎさん、待ってくれって!!」


このままだと見失ってしまいそうな勢いの白うさぎを、必死に呼びとめる。
白うさぎを見失うまいと走る獄寺は、ものすごい気迫で走っていた。
自分にかけられた声に振り返った白うさぎは、
ものすごい剣幕をした獄寺に恐怖を覚えた。


な、なんかわかんないけど、殺られるっ!!!
あの人絶対俺を殺す気だよっ!!!


あまりの気迫に変な勘違いをされた獄寺。
白うさぎはさらにスピードをあげて森の中へと入って行った。


「なっ!何でスピード上がってんだよっ!!待てってっ……ハァ、ハァ…。」


足の速い獄寺も、動物の走るスピードと体力には
ついていけず、途中で見失ってしまった。


「ちくしょー、抱きしめたら絶対触り心地よさそうだったのにっ…ハァ」


森の中で悔しそうに獄寺はぼやいた。
大分走り続けて疲れた獄寺は、息を整える。

そして辺りを見回してあるコトに気付いた。

白うさぎの後を追って森に入ったはいいが、現在地が全くわからない。
おまけに周囲を見回せた草原とは違い、どんよりとした空気の漂うあやしげな森。

獄寺は少しの不安を抱いた。


「やっべぇ、どーすんだよ俺……。」


戸惑いを隠しきれない言葉に、聞こえるはずのない声が答えた。


「君……誰?」


獄寺は驚きながらキョロキョロと見回した。
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