☆パラレル小説〜旦〜☆

□Danced neon
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さぁ、今宵もまた美しい蝶たちが



  妖艶に舞っていく―…





















…太陽が沈み、色とりどりのネオンが大都会の街中を怪しく照らす。店から出てくる美女、美少年の格好を見れば、この辺りがどんな場所か…分かるだろう。
…と、その場所でも特に目立ち、一際目を惹く珍しい色彩がある店に入っていく…。











…この辺ではかなり有名な店のナンバーワン、日番谷は、夜の商売だけでは到底生きてはいけないため、昼は大手大企業の会社の一般会社員を務めている…。
腕にキラリと光る時計を見ると、すでに日付は変わっていた。…久しぶりに仕事が長引いた為、大幅に遅れたのだ。
店に連絡はいれ、とりあえず安心なのだが時間に遅れたというのもあり、一気に行く気は失せた。








適当に入った店は、世間一般で言うクラブだった。薄暗い店の中を色とりどりのスポットライトが辺りを照らし、点滅する…。
海外で流行りのノリのいい曲が大音量で流される中、若者たちは騒ぎ、踊り続けている。








…普段、日番谷は滅多にクラブへ訪れることは無い。来るとしても、同期の仲間たちに無理やり連れてこられるのが大半なのだ。







『何故来たのだろうか…。』







酒? 店の宣伝?…否、違う。






自分が一番分かるはずの事が分からない。
…面白い感情だ。自分に未だ分からない感情があったとは、…と一人妙笑する。









ふと…目の前を鮮やかな色彩が通った。カラン…、と手元のグラスの中の氷の音がやけにはっきりと聞こえた。
グラスを置き、その人物の後を追い掛ける。人ごみをかき分け脳裏に焼き付いて離れない色彩を探す…。






『……いたっ!!』







…橙色の鮮やかな髪をした少年…否、青年が、カウンターの席でつまらなさそうに座っている。その姿に惹きつけられるように日番谷は静かに近寄り、耳元で







「…暇そうだなァ…?」














艶のある声で呟いた
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