Dear....
□すきなひと
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ずっと前から好きだったヒト。
片思いのままで終わると思っていたヒト。
一生、私とは縁が無くて、きっとずっと私は彼のコトを思ってるんだろうなあ、って思って、て。
それなのに。
気がついたら私は、彼の隣に座っていた。
「あ、あれ?」
思わず口に出してしまった不思議さは、どうやら私の予想以上に彼に伝わっていたようで。
彼は困ったように笑いながら、
「目が悪くて見えない、って言うから、代わったんだ」
と私に言った。
昨日行われた席替えの結果。
私は参加しなかったんだけれど。
昨日メールで聞いていたコトとは大きく違った現実と、事実と、現状に軽く眩暈を起こしそうになるも、ぐっと堪える。
神様が折角くれたチャンスだもの。
しっかりと掴んでおかなくっちゃ。
「そ、そっか。えっと、じゃあ改めて、よろしく、どうぞ」
「うん、よろしくどうぞ」
一瞬のかげりも無く、やんわりと目を細めて大石くんはもう一度微笑んだ。
きっと、ずっと届かないと思ってた。
ずっとずっと前から好きなヒト。
今日も相変わらず、好きなヒト。
今日から私はあなたの隣人、そんな称号たったヒトツで、ココロが温まってしまう私は、やっぱり大石くんのことが好きなヒトなのです。
end.