ハニー、サイケデリック

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赤点のテストやエッチな本、‥

ひとは、見られちゃまずいものを、隠す。



だったらあたしも、見られちゃまずいもの‥?









ピンポーン ピンポンピンポーン

ピピピピピンポーン


「なおっさん‥ピンポン連打されてますよ?」

「ん‥あ?」

時計を見ると、朝の7時前。

ふたりしてさっき寝たばっかで、まぶたが重い。

しばらくもぞもぞしていた直人も、はっとして飛び起きて、ジーンズをはく。

なに?なにごと?


「おまえ、ちょっとかぶっとけ」

「は?」

布団と枕を顔のうえに落とされて、埋められる。

わけが分からずちょっと顔をだしてみると、すでに直人が玄関でだれかと話していた。


「来なくていいって言ったろ」

「でもあんたインスタントばっかなんでしょ?身体に悪いって」

「いいよ、たまにはつくってるから」

「心配してるのに」


スーパーの袋を3つも持った女のひとだった。顔は見えない。

「いいからもう帰れよ」

「冷蔵庫いれてってあげるから」

「いいって!」


バタンてドアが閉まる音がして、盛大なため息と共に直人が布団に戻ってきた。


もう布団からでてもいいかなあ。


「‥どちら様?」

「‥あれ、母ちゃん」

「あ‥」




赤点のテストやエッチな本、
ひとは、特に親に見られちゃまずいものを、隠す。


あたしも、見られちゃまずいもののひとつということか。


‥まあ、裸で寝てる姿なんて、見られちゃまずいだろうけどさ。


あたしたちは付き合ってるわけじゃないし、見られたら説明がいろいろと面倒臭い。


だからあたしは、隠された。




でも直人、玄関にあたしのパンプスが置きっぱなしだよ。

気付いてた?








完璧なんてない、ひとはみんな知らず知らずのうちに墓穴を掘る





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