ハニー、サイケデリック

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エイプリルフール。

1年に1度、嘘をついてもいい日。

でもちゃんとルールがあるらしい。
午前中についた嘘を、午後の間に嘘だとバラさなくてはならない。

さて。どんな嘘をついてやろうか。

標的は、もちろんあいつ。







あっぶねー、11時48分。
ぎりぎり午前中に送信。
たぶんあいつは寝てると思うけど。
起きたら驚くがいいよ。むふふ。


とか思ってたけど、いつまでたっても連絡はない。

あれ?無視?
もしかして逃げた?
そんなサイテーなやつ?
まあ毎回一回は生で挿れちゃうようなサイテーなやつだけどさ。

でもあいつの焦った姿見るまでネタばらししたくないし‥

耐えろ、あたし!
ここは我慢のときだ!


でも、待てども待てども連絡はなし。

ついウトウトして……




ドンドンドン

「…!」 起こされた。

ドンドン ピンポンピンポンピンポン

なに?ピンポンダッシュ?新手のいじめ?

「四季、いるのはわかってんだ、早くあけろばかー!」

「ばかとか言うなや」

ドアを開けると、買い物袋両手にさげた、直人。

「なに、なにごと?」

「なんつーか‥オラ!」

袋のなかには、レモンとミカンとすっぱいまんとグレープフルーツジュースと、ひよこくらぶ‥

「……はい?」

「薄着で寝るな。あと、ヒールもはくな」

「ちょー、直人さん?」

「はらの子に悪いだろ」

「…あ」今朝のメール‥

ずっと無視してたと思ったら、これを買いに行ってたわけか‥

「な、名前とかどーする?」

「ええと、直人さん」

「一字ずつとって、直季とか」

「直人」

「むしろ、ほんとに俺の子か?」

「‥ころす!」

こんなやつは、鉄拳制裁!





とりあえず暴走気味の直人にネタばらししたら、なんかすげー怒られた。

「おまえ‥ついていい嘘とついちゃだめな嘘があるだろうがよー」

「やましいことがあるから驚くんでしょうが」

「………」

言ってやったら落ち着いた。




人はいつも、やましいことばかり

(あと、妊娠中はたまごくらぶ‥)





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