ハニー、サイケデリック
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記憶は、増えるのと同時に消えていくもので。
毎日増えるものだから、毎日なにかは消えていく。
でも、消えたと思われた記憶も、ふとした拍子に思い出したりする。
海馬なんて、気まぐれだ。
「四季ちゃん、よかったら、‥番号おしえて」
「あ、うん、いいよ」
「じゃあ、赤外線とかついてる?」
「ごめん、充電切れてて‥書くからあとから電話して?」
「オッケー!」
「‥ぷっ」
「なに笑ってんだよ、気持ち悪りぃな」
「あ、いや、今日合コンしたコに番号聞かれて」
「今日合コンなんかしてたんだ」
「あんたと出会ったときのこと思い出した」
「ああ‥」
「ウケた」
「おまえあれやめろよ。俺らは共通の友だちいたからいいけどさあ」
「四季、番号教えろよ」
「あーいいよー、待って、書く」
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ちょっとだけあたしの心が火事です。すぐに電話して!
微笑ましい記憶
ちょっとした出来心、一刻も早く電話せよ!