ハニー、サイケデリック
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ふと、あたしが生きている証はなんだろう、と考えてみる。
直人の部屋に来る度に。
2DKのアパート。
寝室の隣の和室は、俺ルームと名付けられているその部屋には、よく集めたな、と感心するくらいの漫画とビデオとDVDの山。山。山‥
これが直人の生きている証。
直人が二十数年間この世界にいるという証。
じゃあ、あたしの生きている証はなんだろう。
ちっちゃい頃から集めてるものもないし、これといった足跡を残した記憶もない。
あたしがもしいなくなったら、あたしがいたという事実は、なくなってしまう‥?
「ばっ‥かじゃねーの」
怒られた。
「おまえは確かにここにいんだろ。おまえがここにいねぇんなら、俺はいま誰と繋がってんだってことになるだろ」
「はあ」
「おまえの証は俺だ」
「それは‥ありがとう」
あたしの証は直人らしい。
あたしがもしこの世からいなくなっても、直人がいる限り、
直人がもしこの世からいなくなっても、俺ルームがある限り、
あたしは消えてなくならないらしい。
そうか。みんなそうやって、ここで生きてる。
がんばって生きてるんだ。
あたしを証明する数々のもの
今夜3回イッたってのも証なんだってさ