番外編
□poltro
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「おおテトやん」
「兄ちゃん達朝から元気良すぎんだろ…うっさい…」
「ひでえ隈だなぁう゛お゛ぉい」
「1日ベルのゲームに付き合わされたこっちの身にもなってくれる」
「お前ら仲ええな」
「どこが、いまベルにベッド取られてソファで寝てたのに…」
ひどく不機嫌そうな弟はタンクトップにパーカを羽織り、
凝ったらしい肩や首をゴキゴキ言わせていた。
「そりゃ難儀やなー、なら兄ちゃんと寝よっかテトー」
「子供じゃあるまいし…っくしゅっ」
「お前そんなカッコじゃ風邪ひくで、ほらこっち来ぃ」
「んー…」
否定的なことを言いつつも寝る気満々らしくふらつく足取りでベッドまで進む。
そんな弟を見ていたらオレも疲労を思い出し、突如眠気に襲われた。
「ん゛…」
「ん…?兄貴任務帰り…?微妙にセージに混じって血の匂いがする」
「あ゛ぁ…」
「よし、ほなスペルビもここで寝ていけ!」
…無茶言うなよ。
いくら兄貴のベッドは普通よりでかくても大の男3人が寝るのには無理があるだろ。
「あーいま無茶やろみたいな顔したー」
「な…っ」
なんだ兄貴はエスパーか何かか。
「可愛い弟の考えとるコトくらいお見通しやって。
まあオレのことは気にせんで無理せんと寝ろ。
つかもう兄ちゃん寝らんしな」
やっぱりエスパーらしい。
「…いいのかよ」
一応遠慮がちに尋ねる。
「兄ちゃんの前に何を遠慮する必要があるん?」
年上のくせにオレよりも幼い笑顔を向ける。
「じゃあ…邪魔するぜぇ」
部屋に帰るのも億劫だったこともあり、特大サイズのベッドに身を預ける。
となりのテトに至ってはもう軽い寝息を立てていた。
…どうやら兄貴の部屋の家具や服の殆どにはセージの匂いが染み付いているらしい。
オレのやった香水はどうしたんだとか、死にそうにねえなこの兄貴だとか考えてるうちに、
意識は完全に彼方へと飛んでいったのだった。
…寝とったら大人しくて可愛いのにな、
そう呟く声がしたのは気の所為ということにしておいた。
ねぼうびより。
(童心に還れ)