君の
□第三章
1ページ/10ページ
寮監室から出て、自分の寮部屋へと向かう。
成績優秀者と生徒会は一人部屋だと、姫チャンが言っていたなぁ。
同室者が居なくて良かった。
至るところに装飾のされた廊下を歩いていると、エレベーターを見つけた。
カードキーを差込み、「7」のボタンを押すとすぐにドアが開く。
エレベーターの浮遊感に顔をしかめていると、エレベーターが二階で止まった。
誰かが乗るらしい。
ボーっと扉を見つめていると、扉の向こうの人物と目が合った。
灰色の髪に青い瞳、顔の彫りが深く、鼻筋はすっと通っている。
自分よりも背の高いその美形は、此方を一瞥しただけでさっさと乗り込んだ。
「すみませんが、お名前を聞いてもいいですかぁ〜?」
いきなり話し掛けてきた俺に、相手は警戒と、侮蔑の色を見せる。
「……なんだ、お前。」
「ただの通行人Aと思ってくださぁい。」
眉間にグッと皺を寄せ、唸るように声を出した。
「…俺を、知らねェのか?」
「はい、今度編入するのでぇ。」
一瞬の間が空く。
「…神代 邑(かみしろ ゆう)だ。」