オリジナル

□愛だの恋だの知りません。
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出会い


息は白く、手はかじかんで思うように動かせない。


登校中横を通り過ぎるのは暑っ苦しいカップルばかり。






『あんなにひっついたら動き辛いのに、あ、あったかいからか。』






なんて自問自答の独り言を言ってみたり。

一人で解決するのもあたしはよくある事だしこんなことは日常茶飯事。

友達が居ないわけじゃない。

人並みに親友と呼べるものは居るし良く遊びに行ったりもするし。

ごくごく普通のどこにでもいる一般的で平凡な女子高生。



人と比べて何か違う所をあえてあげるとすれば、
女子にしては少しばかり大きいこの身長くらい。

それでもまだあたしより大きい人は同じ学年に3人はいる。

別に可愛くもなければブサイクなわけでも無い、
人気者でも無ければ根暗なガリ勉でもない。

勉強はそこそこ出来るし進路はだいたい決まってる。

どこにでもいそうな人種でしょ?



あ、あともういっこ。

自分に対しての関心が無いに等しいって言うダメ人間って言うのがあった。







ちなみに関心って言うのは主に「恋愛」って言うジャンルについて。

花の女子高生、恋せよ乙女って言う言葉にあやかって
彼氏持ち、彼女持ちって言うのは溢れんばかりに居るあたしの高校。

勿論友達はみんな当たり前の用に居る。

一人だけ取り残されたあたしは良く憐れまれたりするけど、
別にモテないわけじゃない。

人並みに告白はされる。

現に一回サッカー部のエースに告られた事があるし。

フっちゃったけどね。




「自分の事には興味無い」




って。

どこで聞きつけたかは知らないけどその後はかなり質問攻めにあった。

「もったいない」だの「何で」だの「あたしに譲ってよ」だの。

休み時間の間クラスの友達がひっきりなしに来るからすっごく疲れたし。

最後のに至ってはもう呆れちゃった。

ちなみにサッカー部のエース君は今では良き友達さ。







***







キーンコーンカーンコーン


『げ…。』


数10m先で鳴りだしたチャイムに少し慌てる。

小走りになって校門をくぐるといつものようにお掃除のお姉さんが声をかけてくれた。


「おはよう、今日は寒いねぇ。」

『はい。もう手が真赤だし、足はかなり…。
 あ、掃除、毎日助かってますよ、お姉さん♪』

「そう言ってくれると嬉しいな。ほら!遅れちゃうよ?」

『やば、それじゃ!!』


時間に気付き慌てながらもお姉さんにお礼をしながら走る。

ぶんぶん手を振りながら走って行くとお姉さんは綺麗に笑って手を振り返してくれた。


やっぱあーゆー人はモテるんだろうな、
じゃぁなんでお掃除おばさんなんかやってんの?

なんてまた自問。

今回は答えは出なかったけど気にしない。

答えなんて必ずしも出るもんじゃないしそこまで気にならないしね。







***







チャイムはすでに鳴り終えて、

予鈴だから良いもののやっぱりあとちょっとで遅刻だから息を切らして走る。

途中通った職員室前に立ってた男子には目もくれず一気に廊下を駆け抜ける。

走って来た所為かだんだんと体にも熱が集まって来る。

さらにスピードを上げ、すぐそこの教室に飛び込んだ。


『セーフ!』

「諳、おっそい!!あと2分で遅刻だよ。」


遅れてきたあたしに声をかけたの親友、相川侑。

才女で運動神経もなかなか良いというエリートちゃん。

だいぶ砕けた感じだからモテるし人気。


『良いじゃん良いじゃん、遅刻じゃないんだk

「セーフ!?」

「アンタもか神崎っ!!」


あたしのセリフを遮りやがったな…!!

疑問系だったけどあたしと全くおんなじ風に入って来たのは神崎祐樹。

サッカー部エース、あたしなんかに告ったモノ好き。

イケメンに分類されるからモテるっちゃモテる。

しかし彼女イナイ歴年齢の人。(本人いわく付き合いたいって思う奴があたししか居ないらしい。)


ガラッ


勢い良くドアが開く。

ドアの向こうに立っていたのは般若みたくなった我が2年D組の担任様。


「そんなとこで漫才やって無いでさっさと席につく!!」

「うわっと、ハルカちゃん!!」


担任の坂谷遼。

名前は”リョウ”じゃなくて“ハルカ”って読むから生徒には良くハルカちゃんって言われてる。


「その呼び方はやめろっつってんだろクソガキ!!転校生紹介してやんねぇからな、お前だけ!」


ちなみに名前コンプレックス。


「転校生!?ちょ、それ早く言って下さいよ坂谷せんせー!!」


コケながら戻る祐樹につられて他の生徒もガタガタと自分の席に戻る。

ふと頭に職員室前に居た男の子が浮かんだが顔が出てこなかった。

当たり前、あたしあの子の顔見て無いもん。
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